TOCHIKU
Paul Frankl style sofa & Table
20世紀初頭に活躍し、後のアメリカンモダンデザインに大きな影響を与えたデザイナー“ポール・フランクル Paul Frankl”(1886-1958年)。
いわゆるデザイン黄金期・ミッドセンチュリー期の名デザイナーとして知られる、C&Rイームズやジョージ・ネルソンがまだ子供だった頃に活躍していた人物です。
悲しいことに知名度は低いですが、現代へと繋がるアメリカモダニズムの礎を築き上げた一人。
一見アジアンリゾートホテルに置いてありそうなこのソファも同氏の作品をモチーフに生産されたものです。
歴史から見える様々な魅力
>この商品の詳細を確認する
オーストリア生まれのポール・フランクル。活躍した時期は近代建築の巨匠 フランクロイド・ライト(1867-1959年)とおおよそ同じ頃でしょうか。
ポールがアメリカ・ニューヨークへ渡ったのは、アールヌーボーからアールデコへの転換期、アメリカが高層建築の背比べに必死だった1914年のことです。
当時のアメリカは1871年に起きたシカゴ大火災からの復興の手助けをするべく、各地から建築家が集まっていました。建設ラッシュはエスカレートし、半ば建築の実験場と化していたようです。
その超回復により、皮肉にもシカゴやニューヨークは世界に先駆けて超高層ビルを発達させた近代建築の宝庫となりました。
ポールが初期にデザインを手がけていた『スカイスクレイパー(摩天楼)家具』は、これらの高層ビル群をイメージした『ジグラットパターン』を取り入れたものだったわけですが、これが当時人気を博したそうです。
かの喜劇王『チャップリン』も愛用していたそうな。
そして、時代に合わせ進化を続ける中で生まれたのが、ラタンを使用したシリーズ。
ハリウッド映画で度々使用されていたラタン家具は当時から一定の人気がありましたが、それをさらに後押ししたのがポールフランクルデザインのラタン家具でした。
市場では"ポールフランクルスタイル"の家具として出回っているこれらの家具ですが、今回ご紹介しているものはアメリカのデザイナー" Shirley Ritts/シャーリー・リッツ(1920-2008年)"が手掛けたものとされています。
自身の会社リッツ・カンパニーから販売していたようですが、今回の個体を見てみると"TOCHIKU MFG.Co.LTD=トーチク工業"のプレートが付いている事が分かります。
なんと日本の会社・・・!
思い返してみれば、以前入荷した個体は日本の家具ブランド"KOSUGA/コスガ"のプレートが付いていました。
2社の製品は数センチの僅かな違いはあれど、造りはリッツのデザインそのもの。
それらも主に海外のオークションで流通しているところをみると、生産にかなりの技術を要するので日本の企業にライセンスを与え逆輸入していたのかなと想像が掻き立てられます。
いずれにせよ、かなりの人気があったことは確かでしょう。
(左下にKOSUGAのメタルプレート)
今回入荷したTOCHIKU製の個体はソファ3台とローテーブルが1台。
丁寧に曲げられたアームにはポールフランクルが得意とした幾何学的なジグラットパターンが取り入れられ、直線と曲線の調和が取れた美しいデザインとして完成されています。
また、ミルフィーユのように重ねて構築されたフレーム、幅広のアームに肉厚のクッションとずっしりとした耐久性に優れた構成でありますが、ラタンがそれらを中和し軽やかさも感じさせてくれます。
ローテーブルもシンプルながら積み重ねられた楕円形の籐脚が美しい仕上がり。
ソファの張地は前所有者様によって張替えられており、モンテスラの柄がトロピカルな感じを強めています。
グリーンの張地も現代的ですごく良いですが、個人的には当時のコンセプト通りのトロピカルなファブリックが好みです。
アジアンな雰囲気の中にも洗練されたモダンな雰囲気が感じられる不思議な魅力。和のテイストにもマッチする面白さがあります。
4つ脚ではないので畳擦り仕様の椅子のように和室でも使えるのが嬉しいところ。
デザイナーズ家具としてはマニアックな部類に入るアイテムですが、歴史を辿ってみるとかなり愛着が湧いてきます。情報の少なさが却って心を擽るのかもしれませんね。
20世紀のデザイン史に残る名デザイナー“ポール・フランクル”の影響を色濃く受けた、希少な日本製のビンテージアイテムのご紹介でした。
Sofa 3 seater
Sofa 1 seater
Sofa 1 seater +Ottoman
(SOLD)
Glass top table
(SOLD)