Bornholms Mobelfabrik Bookshelf of Rosewood

年が明け、足もとから生命力を奪ってゆくような寒さが続くこの頃。 年末年始は割合引きこもっていたのですが、久方ぶりに近場を歩いてみると土がある所にはひび割れたコケたちがちらほら。 どうやら大人になってからはあまり気にする事が無くなった霜柱が、都内近郊でも現れてきたようです。 踏むとザクザクと鳴る気持ちの良い音と、少しずつ上がる朝の気温に溶けてきらめく氷の結晶。 夢中になって踏みまくって、小学校の朝礼をすっぽかしたのはいい思い出です。 大人になった今では様々なルールを破るような事は出来ませんが、小さな頃に感じたそのときめきは良い家具を見た時と通じるようなワクワクする気持ち。 今回も素敵なアイテムが入荷しております。ご紹介に、是非最後までお付き合い頂けますと幸いです。

閉ざされていない島

>>この商品の詳細を確認する 突然ですが、デンマークは島国。 アルネ・ヤコブセンが市庁舎を設計した事でも有名なオーフス等を擁するユトランド半島といった、ドイツと地続きの部分もありますが、 首都コペンハーゲンのあるシュラン島、第三の都市オーデンセのあるフュン島等、多くの島々が連なった国がデンマーク。世界最大の島と呼ばれるグリーンランドも実はデンマーク領だったりします。 今回はデンマークの中でも東端にある、ボーンホルム島から生まれたブックシェルフです。 ボーンホルム島で家具を作っているから「ボーンホルムス・モーベルファブリック」。日本でいうならばカリモク（刈谷木工）アキモク（秋田木工）のような事になりますでしょうか。 ※モーベルファブリックは直訳すると家具工場という意味です。 創業者自身の名前や離れる事が出来ない地名を冠にする企業には、どこか安心の出来る誠実さが感じられるような気がします。 チーフデザイナーであったヨハネス・サウス（ソース）によって手掛けられたブックシェルフ。 高さは182センチと、視界への納まりの良さと目一杯の収納量を叶えるハイタイプです。 シェルフ内寸はおおよそ幅95 × 奥行き23 × 高さ23センチ。中二枚の棚板は調整が可能な作りのため、ダボ穴に応じて上下3センチの調整をすることが出来ます。 単行本+αくらいの余裕あるサイズなのは、洋書やちょっと特殊なサイズなんかもしまいやすくなるので嬉しい仕様ですね。 下三段はチェスト。リネンを仕舞ったり、この季節であればウールブランケットや羽織もののニットなんかも納まるたっぷり収納（一段につき内寸90 × 34 × 9センチ）。最上段は仕切りによって3分割されているのでぎゅっと詰め込むよりかはちょっと特別なアイテムを置いておきたいスペースになっています。 無垢材を刳り出した取っ手は下に向けて奥まってゆくデザイン。引き出しを引っ張る時、指に力を入れると握った手指は自然と手を握り込むように動きます。人によっては取っ手下側の縁に指が当たって痛いと感じてしまうポイントですが、このタイプであればその心配は少なそうですね。 そしてもう一つの役割であるライティングビューロー。チェスト直上の天板は裏側の取手を引っ張る事で、幅96 × 奥行き37センチのデスクスペースが現れるようになっています。 椅子に掛けて、目線を上げるとそこにはお気に入りの蔵書やディスプレイしたアイテムたちが。自分だけの世界を楽しめる贅沢なひとときです。 使わない時には天板をしまい、心地良く動く蛇腹を閉じれば端正なブックシェルフに早変わり。流石としか言いようのない無敵具合です。 そして素材は今では貴重なローズウッド。左右に走る木目はダークブラウンの落ち着いた印象を引き締め、背板はシンメトリーなブックマッチ仕様。 無垢材を繋ぎ合わせた蛇腹は同じ色彩の中でグラデーションを感じさせ、つまみは90度切り返した木目によって小さなアクセントに。 偏見かも知れませんが、これが首都コペンハーゲンから遠く離れた島の中で作られていたということに、静かな感動を禁じ得ません。 凄い国です、デンマーク。 今回同時に2台入荷したボーンホルムスのブックシェルフ。一台は学芸大学店に、そしてもう一台が祖師谷大蔵店に来てくれました。お買取りをご相談頂いたお客様、ご依頼頂き誠にありがとうございました。 多くの大人を納得させる洗練を持ちながら、使う人には心地良くそしてワクワクな毎日を提供してくれるアイテム。ぎゅっと詰め込まれた機能は日本の住宅事情にもマッチする逸品です。 どんどん貴重になっていく一方なデンマークビンテージ。使い継いでゆく価値をご存知の方にこそお勧めしたい素敵な1台。 頻繁な入荷の見込めないアイテムとなりますので、気になる方はどうぞこの機会をお見逃しなく。