Fritz Hansen
PK9
アルネ・ヤコブセンやハンス・J・ウェグナーなど多くの世界的デザイナーとの協業で知られるデンマークを代表する家具ブランド「フリッツ・ハンセン Fritz Hansen」。
常識に囚われることのない自由な発想からセブンチェアやエッグチェアなど、多くの名作を発信しています。
本日はそんな同社のプロダクトから、素材の特性を活かした機能美光る一脚をご紹介します。
スチールに魅入られた鬼才の一脚
スチールの素材感が独特の風合いを醸し出すこちらは"PK9"ダイニングチェア。
本革の背座にスチール製の脚を合わせた姿は一見すると工業系の雰囲気すら感じさせる無骨な要素で構成されたデザインですが、そこに繊細な造形と機能性を秘めた一脚です。
PK22チェアをはじめ、数々の名作を手掛けたデンマークの鬼才"ポール・ケアホルム Poul Kjaerholm"。
1950~60年代の北欧で行われていた家具作りがチーク材やオーク材など自然素材の豊かさを活かしたものだった中で、まだ家具の素材としてはマイナーだった金属を主材とすることでその特性を活用した先進的なデザインを生み出したことで知られています。
背座一体のシートは同氏の妻・ハンナが砂浜に残した身体の跡から着想を得たと言われており、チェアをデザインする際も粘土に座って型を取ったのだそう。
実際に座ってみると身体の曲線にぴったりとフィットする造形で、シンプルな見た目からは想像もできないゆったりとした掛け心地を実現しています。
今回入荷した赤いレザーの個体は廃盤となっているカラーリングのため、中古市場でしか見ることのできない仕様である点も見逃せないポイントです。
同氏のプロダクトの中でも特徴的な造形の脚は3本のスチールを束ね、床に向けて開いたかのようなつくり。
3本脚ではあるものの脚と座面の位置の調整に加えて、座る位置や姿勢に合わせて適度にしなる柔軟性を脚に持たせることでしっかりとした安定感を保っています。
また、脚の表面にはサテン加工を施すことでギラギラとした光沢を抑えた、落ち着きのある質感に仕上げられています。
同氏の特徴であるスチールを用いたデザインスタイルが色濃く表れたPK9。
木材やラタンといった天然素材に比べると温かみがあるとは言えないスチールを使いながらも、無機質さを強く感じさせないのは根底に北欧デザインの影響があるからこそ。
曲線的なスチール脚で優美なモダンデザインを演出しつつ、人間の身体形状からインスピレーションを得た有機的な背座の造形と赤いレザーでどこかポップな温かみを感じるスタイルを見事に実現しています。
imptionでも初の取り扱いとなるポール・ケアホルムの手掛けた"PK9"ダイニングチェア。
1本脚に近いすっきりとしたシルエットで、日々の暮らしにも取り入れやすいのも嬉しいポイント。
身体をそっと包み込む背座とスプリングの役割も担う脚で、洗練された造形の中に確かな掛け心地を兼ね備えた一脚をぜひこの機会にお求めください。