Fritz Hansen
KAISER IDELL 6631-T LUXUS Table Lamp
ん?なんかちょっとフリッツハンセンぽくない?と思われた皆さん。その第一印象、正解です。
カラーリングのせいかとも思ったのですが、実際に北欧デザインではありません。
モダンだけどどこか北欧らしさとは異なる印象を受ける赤いテーブルライト。デンマークで製造されるバウハウスデザインです。
蘇ったタイムレス

名立たる巨匠やデザイナーのプロダクトを手掛ける、Fritz Hansen(フリッツハンセン)社。2003年には本格的にアウトドアシリーズを展開するなど、今なお飛躍し続ける説明不要の名ブランドです。
そのプロダクトの多くはオリジナル。つまりは同社のためにデザインされたりデザイナーとともに協力して作られるわけですが、中には例外も存在します。


それがこの「カイザーイデル | KAISER IDELL」。もともとドイツのランプ工場・Gebr. Kaiser & Co.(カイザー社)のためにデザインされた照明シリーズで、1931年から1950年までは同メーカーで製造されていました。
その後長く生産されずにいたこれらの照明が再び作られたのは2011年のこと。おおよそ60年も続いた長い沈黙を破ったのがフリッツハンセン社です。


中でもテーブルランプ「6631-T LUXUS」は、1936年に発表されるやいなや注目を集めた屈指の人気モデル。深さがアシンメトリーのシェードや緩やかな弧を描くアームなど、機能性から生まれるバウハウスデザインが美しい1台です。
とくに角度調整を可能にする2箇所の可動パーツは、銀細工師や金属工房の主任という経歴をもつデザイナーのChristian Dell(クリスチャン・デル)の本領が発揮された重要なポイントといえるでしょう。見た目や機能だけでなくそんな細部までもが見事に再現されています。


今回入荷したルビーレッドは、現行で展開される全7色の中で最も華やかさをもつカラーリング。少しポップなカジュアルさをまといつつ、深みと光沢のある色合いが上質感を与えています。
しかもシェードの塗装はハンドペイントで施されているんだそう。よく見ると若干のヨレがあったりするのですが、そこもまた手作業の温かみとしてチャームポイントに感じられそうです。

ドイツデザインの象徴とも称されるカイザーイデル。その魅力は、大胆な個性と細部へのこだわりを欠かさないフリッツハンセン社に復刻させたいと思わせる時点でお墨付きというわけです。
そして復刻モデルでありながらここまで高い完成度を誇るのは、その感性と技術力があったからにほかなりません。
現代に蘇ったタイムレスデザインをぜひ身近に置いて実感いただきたいと思います。