Fritz Hansen
ANT CHAIR
デザイナーズ家具といったら何を思い浮かべますか?
ウェグナーのYチェア、イームズのシェルチェア、カイ・クリスチャンセンのNo.42などなど。
1950年代ミッドセンチュリー期には名匠のプロダクトが多く世に放たれました。
そんな彼らを凌ぎ世界最高と呼び声高かった名匠が存在します。
その名もアルネ ヤコブセン。
今回はシンプルでユニーク、ヤコブセンの強い意志が表れた名作をご紹介致します。
隙無しの名作。
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こちらは ”Fritz Hansen” の 「ANT CHAIR」です。
デザインを手掛けたのは建築家でありデザイナーでもあるアルネ ヤコブセン。
自らが設計した建築物に自らがデザインした家具を置き、空間を全てプロデュースする完璧主義の一面を持ちます。
理想の形を追求すべくデザインは勿論、緻密に計算しつくし実用性をも追い求める拘り様。
そんな完璧主義者の血と涙の結晶が形となって世に放たれたのは、自身初のチェア ”アントチェア” でした。
アントチェアと呼ばれる所以。
その名の通りアリンコに似ているから。
ユニークさから世界中で愛されるチェアになりました。
ですが、奇をてらったデザインを設計し先鋭さをアピールしたかったわけではありません。
ここにヤコブセンの拘りと努力が宿っているのです。
背座一体のチェアは世界で初めて生み出されたプロダクト。
そしてヤコブセンが手掛けた最初の成形合板を用いた製品。
当然のこと製造作業は難航しました。
試作の段階では背と座の境部分にヒビが発生。
試行錯誤を繰り返すうちにある場所が削り取られることになります。
ヒビや歪み等のダメージが生じた部分。
その箇所を左右から取り除きながら精度を高めていったそう。
そして完成されたチェアはくびれのある蟻のような姿を持っていました。
このくびれはまさにヤコブセンの試行錯誤と努力の結晶でした。
くびれが叶えたのはデザイン性だけではなく、程よいしなりや身体の形状や動きに適応する柔軟性。
圧倒的なデザイン性を持ちつつも軽量且つスタッキングできる点。
これもまた計算と努力を尽くしたヤコブセンだからこそ実現できたポイントです。
流れるような曲座面。
薄さから認識できない確かな耐久性。
座面と相性の良い華奢なスチール脚部。
どこまでも拘り尽くされ隙の無い様。
神は細部に宿ると言いますがまさにその通りですね。
シンプルでありながらデザイン・実用性を共存させた歴史的名作のご紹介でした。
「デザインが素敵」「軽い」「シンプル」
興味を持つきっかけはそんな単純な理由からでいいと思います。
誕生の歴史を知り恋に落ち、実際に触れ作り手の意図に気づいたとき愛に変わる。
実際に触れ、ヤコブセンの魂を感じ愛情を持ってお使い頂けたら嬉しいです。