Herman Miller
Arm Shell Chair 2nd - Light Ochre
シェルチェアは、入荷のたびに僕が撮影させてもらえます。
カラーも、年代も、ベースも。入荷するものは実にさまざま。
それでも、同じ仕様の一脚同士を見比べてみると、まったく同じものはありません。
FRPに浮かぶガラス繊維の表情、艶の残り方、裏面に刻まれたロゴ。
大量生産された工業製品なのに、同じものはひとつとしてありません。それぞれ異なる環境で使われ、半世紀以上という時間を重ねてきたことが、そのまま個性として表れているように感じます。
変わらない形と、変わり続ける表情


今回ご紹介するのは、1955年から1970年代頃まで製造された、2ndビンテージのアームシェルチェア。
何脚も見てきましたが、このマスタードカラーはやっぱり良い色だなと思います。
正式には「オークルライト」というみたいです。
経年によって少し落ち着いたイエローカラーは、長い年月を経たビンテージだからこその魅力。光の当たり方によってFRPのガラス繊維がふわりと浮かび上がる様子も相まって、新品にはない存在感を纏っています。

今回の個体で印象に残ったのは、背もたれ上部の穏やかなラインです。
一般的なアームシェルと比べると、ほんの少し丸みを帯びたフォルムで、どこか愛嬌のある表情を感じさせます。恥ずかしながら、今回初めて知ったのですが、ヨーロッパ仕様とされる個体にも見られる特徴で、この柔らかなシルエットも、この一脚ならではの魅力と言えるでしょう。

脚部には、お馴染みのエッフェルベースを組み合わせています。
実は、「エッフェルベース」という名前は正式名称ではありません。
正式には Wire Base(ワイヤーベース)。エッフェル塔を思わせるシルエットから、そう呼ばれるようになった愛称です。

シェルチェアを見慣れていると当たり前になってしまいますが、「DSR」という型番にもちゃんと意味があります。
D = Dining Height(ダイニングハイト)
S = Side Chair(サイドチェア)
R = Rod Base(ロッドベース)
つまり、「ダイニング用の高さを持つサイドチェアで、ロッドベース仕様」という設計そのものを表しています。


イームズ夫妻は、一つのシェルに対して用途に応じたベースを組み合わせるという発想でシェルチェアをデザインしました。
ダイニングにはDSR、ロッキングチェアにはRARというように、ベースを替えるだけで用途に応じた一脚へと姿を変える。
「一脚の椅子」をデザインしたというより、「一つのシェルから、さまざまな用途へ展開できるシステム」をデザインしていた。
70年以上前に考えられたとは思えないほど柔軟な発想です。

普段は日本のブランド家具をはじめ、北欧やヨーロッパなど、さまざまな国の家具に触れています。
それでも、気が付けば足を止めているのはアメリカの家具です。
理由を聞かれるとうまく言葉にはできませんが、僕にとってアメリカンビンテージは、家具を見るうえでのバックボーンのような存在なんだと思います。
だから、何脚見ても飽きない。
次はどんなシェルチェアに出会えるのか。
シェルチェアのみならず、アメリカ家具の買取なら自信がありますので、ぜひ経堂店にもご相談ください:)































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