Knoll
Sling Chair 657
本日は、異素材の個性の違いを活かし、近代建築の様なスタイリッシュな造形美を演出するチャールズ・ポロックの代表作" ノール / Knoll "『 Model 657 スリングチェア 』のご紹介♪
コントラストが際立つポロック不朽の名作
1938年創業のアメリカを代表する家具ブランド『ノール / Knoll』。チャールズ・ポロック、エーロ・サーリネン、ハリー・ベルトイア、マルセル・ブロイヤー等デザイン史を語る上で、欠かす事の出来ない著名なデザイナーによる多くの名作を輩出しています。「同社の歴史は、そのまま近代デザイン運動の歴史でもある。」と云われ、今日でも世界中で高い評価を受ける老舗ブランドです。
こちらはミッドセンチュリーを代表するデザイナーの一人である“チャールズ・ポロック Charles Pollock”によって、1960年にデザインされた名作『 スリングチェア Model 657 』になります。チャールズ・ポロックは、1930年アメリカ生まれ。ニューヨーク州ブルックリンのプラット・インスティテュートを卒業後、ジョージ・ネルソン事務所で家具の開発に携わりました。
後にKnollの創業者の妻フローレンス・ノルに自身のポートフォリオを持ち込み、Knollのプランニング・ユニットのメンバーであったシニアデザイナーのビンセント・キャフィエロからデザインの仕事を続けるよう促されました。
同作は2015年に「ポロックアームチェア」という名前に改名され復刻いたしましたが、こちらは「スリングチェア」または「657」と呼ばれていた時代に製造された大変希少なビンテージアイテムになります。当時のオリジナルはKnollにて1964年から1979年まで製造されていたようです。
異素材をミックスし、素材本来の個性が引き立てあう造形美と機能美には多くの注目が集まり、「使われる芸術品」と称されるほど。フレームには落ち着いたブラック塗装のアルミフレームと、光沢のあるポリッシュクローム仕上げのスチールパイプフレームを組み合わせています。明るさと艶感によりコントラストのきいた表情が、アウトラインをより際立たせています。
金属フレームの無機質且つ直線的な構造に対して、背座には大きな厚手レザー1枚でつくられ、ブラウン色のカウハイドが温かみや柔らかさが強調されています。従来のソファやラウンジチェアの様なウレタンやウェービングベルトを使用せず、背座其々左右2箇所に金具で留められている為、レザー面は宙に浮いた構造でゆったりとした着座感と曲線美が同居しています。
またブラック色のクッション付きなので、荷重がかかる座面に対し、安定感のある着座が可能となります。着座の際に気が付く肘掛けの手元の丸み等、思わず手で撫でてしまうディティールから表現者の拘りを感じられます。
幅62.5×奥行66.5×高さ71.5cmとフレームサイズの差異を10cm未満に抑えた正方体に近い寸法。その中で人工素材と自然素材による対比と調和が織り成す絶妙なカラーバランスとコントラストが成立しています。抜け感のある細身のフレームも相俟って空間中央に設置した際も圧迫感を与えず、コンパクトに空間にフィットします。
チャールズ・ポロックにより考え抜かれた360度異なる表情。同時代のUSミッドセンチュリーデザインは勿論、ポール・ケアホルムを始めとする北欧モダンや、カッシーナ社のLCシリーズ等、洗練されたインテリアデザインとも相性は抜群。生活感が軽減された都会的な空間演出と経年により味わいを増したビンテージの風合いを共に楽しむ事が出来ます。