180年以上もの歴史を持つ技術
優雅な曲線がお部屋に温かみを与えてくれる曲木家具。
日本では秋田木工が100年以上の歴史を持つ曲木家具メーカーとして広く知られていますが、その技術が開発されたのは今からおよそ180年以上も前、日本では江戸後期にまで遡ります。
本日はそんな曲木家具の歴史と共に、曲木技術を使用した椅子3脚をご紹介させていただきます。
曲木家具の始まりは1819年に「ミヒャエル・トーネット」によって設立されたドイツの会社”ミヒャエル・トーネット商会”。
それまで木材は直線に加工するという考えが一般的な中、高温で蒸して加工する「曲木」の技術を考案したことで、曲線を基調とした家具の生産を可能にしました。
1841年にはイギリス・フランス・ベルギーで曲木技術の特許を取得。この頃にはオーストリア首都のウイーンに工場を移し、カフェ「ダウム」からの依頼により制作した「ダウムチェア No.4」の量産が開始されます。
1853年に5人の息子たちに経営を譲り、社名を”トーネット兄弟社”に変更、1857年には工場をチェコへと移したことで転機が訪れます。
豊富な資源(ブナ材)と安価な労働力を手に入れ、世界で初めての家具量産工場が誕生。現在でも同社のベストセラ―となっている「No.14」の大量生産も開始されました。
しかし、1869年に曲木の特許が切れてからはライバル会社の台頭や第一次世界大戦の影響により経営が傾いていきます。1922年には「Kohn Mundus社 (コーンムンダス社)」と合併し、「Thonet Kohn-Mundus(トーネットムンダス社)」となります。
その後も世界大戦などにより、各国にあった工場が国ごと分断されて消滅・合併・吸収された結果、現在はトーネット社として誕生の地ドイツに本社を構えています。
Ton Bentwood Stool
まずご紹介させて頂くのはチェコの”Thonet社”の工場や曲木技術をそのまま受け継いでいる”TON社”によるハイスツール。
1946年に国営企業になったことにより”Thonet社”はチェコ語で(曲木家具の工場)の頭文字をとったTONに名前を変更しました。
落ち着いたダークブラウン色のカラーリングがビンテージ品のような風合い。
曲木家具らしい曲線が多用された一脚で、すらりと伸びる脚先の緩いカーブがより軽やかな印象を与えています。落ち着いたダークブラウン色のカラーリングがビンテージ品のような風合いもプラスしています。
座面には植物模様のようなエンボスがあしらわれており着座時以外もエレガントな雰囲気を楽しむことができます。
2脚で異なる模様となっていますが、残念ながらBのお品物は既にSOLD OUTとなっております。
Vintage Double Loop Bentwood Chair
続いては製造メーカーは不明ですが、創業160年の歴史を持つ日本の老舗家具ブランド”コスガ”で取り扱われていたポーランド製のダイニングチェア。
曲木椅子の定番、ループバックの背もたれが印象的な一脚。ビンテージ品ならではの、長い年月を経て生まれた傷や、深みが増した木材の色味が深い味わいです。
くすんだイエローカラーの座面は格子柄と水色のドットが組み合わさった幾何学模様になっており、ヨーロッパのクラシカルなテイストだけでなく、日本の昭和レトロな空間など幅広いテイストに取り入れることができます。
おわりに
いかがだったでしょうか?
180年前に「ミヒャエル・トーネット」が考案した曲木技術は様々な歴史を経た現在でも、美しい加工技術として多くの家具に取り入れられています。
これからの時代も長く愛されていくであろう曲木家具、是非この機会にお部屋に加えてみてはいかがでしょうか。