Danish Vintage
Sidebord Of Teak
今日は昨日の雨模様から一転、とても良い天気。
日差しは暑いけれど、空気はそれほど熱を持っていないのが秋の晴れ間という気がしますね。
自宅の近くの柿の実が色づいてきました。そんな秋のはじまりには
これから寒くなるお部屋を気持ち良く過ごせるアイテムが欲しくなります。
デンマークからやってきたサイドボードが今回のご紹介。
このブログをご覧の方は、このアイテムをどのようにお使いになるでしょうか。
空気が人肌に丁度良くなる頃に
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暑い夏の日々の中では、どうしても肌に気持ちい冷たさのガラスのアイテムが欲しくなりますよね。
直接肌が触れたり、場合によっては突っ伏したりするテーブルではそういった点も大切だと思います。
では、収納家具はどうでしょうか。
オープンシェルフのように目に触れる面積が少ないとまた場合は変わってきますが、基本的にはモノを収納するために多くの板(広い面積)で覆われているものが多いです。
そのために、お部屋の中の色味を大きく占める収納家具は素材や風合いの良い物を選んでおくと、温かさや涼しさといった風合いも含めその雰囲気で満ちた空間が出来上がります。
今回のサイドボードは造りの良い家具が昔から続く、北欧はデンマークのもの。
なぜ良い家具が多いかという問いには様々な理由がありますが、ヨーロッパの中でも緯度が高い北欧の国は日照時間が短いため屋内で過ごす事が多い事。
デンマークモダンデザインの父とも呼ばれるコーア・クリントによる教育、とりわけ人体の寸法をデザインのベースにするエルゴノミクスのはしりや、過去にある良作をモダナイズする「リ・デザイン」の概念が深く根付いている事。
そしてマイスター制度やキャビネットメーカーズギルドといった、組織による技術の継承が当時上手く機能していた事などが重なって、主に1940~1970年に製造されたアイテムの多くが今も愛されるビンテージ家具として残っています。
素材はチーク材。もともとはしっかりとした強度、高い油分を持っている事から船舶の構造材として多く用いられた木材。
その油分の高さから精密な工作が難しい材でしたが、ノコギリ刃の改良によって加工技術の水準が上がり、また経年によって濃い色味へと変化する素材が持つ美しさから高級家具の中心となった良材です。
他の材と比べてやや赤みがあり、薄すぎず濃すぎずの目に優しい木味。
現在は伐採が制限されていますが、生産の中心地は変わらず東南アジア。遠い旅路を経て素敵な家具へと変わったのだと考えるとまた思い深いものがあります。
観音開きによる4枚扉。扉は両外側から開く様に設計されています。
中はマグネットによる固定タイプですので誤って開いてしまう、なんて事は防げます。
ネジダボはクラシックな真鍮のものが使われていますが、マグネットも付いているので先程お伝えした年代でも、後の方の製造と推察できます。
棚板は約幅96×奥行き41センチが2枚。ダボは6センチ間隔で調整が可能なので用途に合わせて柔軟にお使い頂く事が可能です。
そしてプレーンな見た目に隠れた面白い仕様が、この内抽斗。
もともとはカトラリーなどの収納用でしょうか。チークの色に映えるグリーン系のフェルトが内張りされています。
内寸約42.5×35.5×3.5センチの収納が2杯付き、可愛らしい佇まいの抽斗ですがこちらは取り外してお使い頂けます。
全体的に四角い印象のサイドボード。48×46センチと正方形に近い扉が4枚並んで外側のフレームで囲われています。
無垢材の取っ手も四角に、くり抜かれた窪みも四角。違和感なくまとめられているのが逆に構成力の良さを感じさせてくれます。
全体の幅は200センチほどありますが、高さは74センチと脚の付け根くらいの高さで抑えられているのでとてもスマート。
それほど幅広な印象を受けないのは良いデザインの証です。
ほとんどが四角のサイドボードの中で、目立つマルとしてステッカーが貼られています。
「DANISH FURNITUREMAKERS CONTROL」とありますね。
この品質基準の発足は1959年になるのですが、当時人気の高かったデンマークの家具にあやかって、利益目的の粗悪品が多く作られていた現状があります。
そのクオリティを守るために厳しい基準をクリアした企業のみが載せる事を許された、「お墨付き」がこのシール。少なくとも6ヵ月以上の検査期間があり、取得後も抜き打ちで検査があるという現代にも匹敵する厳格なもの。
国の誇りである主要産業を守ろうと、個だけではない全体を俯瞰した「協働」の精神。これがデンマークの家具における何よりの人気のもとなのかも知れません。
年代が進むにつれて技術は確実に進歩しましたが、最新の物には代えがたい魅力を持っている、その価値がビンテージならではの良さ。
企画して、デザインして、人の手という曖昧でアナログなものによって、数学的にまで美しいと感じられる家具を造る。
当時のアイテムにはそんな人のエネルギーが多く感じられるからこそ、ちょっとした状態から杢目の違いまで愛おしく思えるのかも知れません。
言い換えればそれこそ、「血の通った」ような温かな家具。
素敵な部屋の、素敵な雰囲気づくりに、こんな素敵なサイドボードはいかがでしょうか。