Pierre Guariche Tulip Chair
インプションでは世界各国のデザイナーズチェアを取り扱ってきましたが、特に強く印象に残っている一脚があります。
どこか突き放すような冷たさ、アート作品のような佇まい。
一目見たら忘れがたいその姿は、私がそうであったように、初見の方の心に深く刺さるのではないでしょうか。
久しぶりの入荷が叶った名作のご紹介です。
暴かれた美
フランスのデザイナー/建築家である"ピエール・ガーリッシュ Pierre Guariche"は、ル・コルビュジェ建築のインテリアを担当するなど、戦後復興期のデザインシーンで活躍した重要人物です。
戦後という時代が後押しした家具の大量生産。
ガーリッシュもまた独自の切り口でこれに挑戦することになります。
イームズを例に挙げるまでもなく、世界中のデザイナーが競うように作品を具現化していったミッドセンチュリー期は、「新素材とアイデアの融合」がキーワードになりました。
今回入荷したのは、ガーリッシュの代表作といって差し支えない名作『チューリップチェア Tulip Chair』。
背座一体成形のシェルに選ばれた素材は、我々の生活にも身近なアルミでした。
従来の家具作りではおよそ用いられるケースの少なかったアルミ。
加工技術の進歩によって木材以外の選択肢が増える中、軽く柔らかいアルミは、溶かしてプレスして立体的に曲げるという新たな手法におあつらえ向きの素材でした。
アルミのごつごつとした質感と、薄氷のように緊張感のある輪郭。
相反する表情が一つのチェアに同居しています。 無骨さのなかにフェミニンさも感じ取れ、見る人によって様々な印象をお持ちになるのではないでしょうか。
チューリップチェアについての驚きの事実として、本来はファブリックが張られていた椅子だということに触れないわけにはいきません。
アルミシェルの姿で知られているチューリップチェアですが、いつしかクッション部分を剥いだ、いわば骨格が剥き出しの状態に価値を見出されることになったという、プロダクトデザイン史全体でもかなりユニークな逸話を持っています。
暴かれた美しさ。
デザイナーの意図から遠く離れた場所で孤高の存在感を放つチューリップチェアは、現在世界中でコレクター価値を高めている逸品です。
ぜひ学芸大学店でその美しさに触れてみて下さい。































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