Carl Malmsten
Hadar Stool
はじまりは、1本の電話でした。マルムステンのスツールのお買取りをご依頼いただき、それはもうわくわく。
インプションでは過去にベンチを取り扱ったことがあるのですが、初めてのスツールに胸を高鳴らせました。
そうしてやってきてくれた逸品。あれ、穴があいている?パイン材じゃない?実は、想像を超える希少なアイテムでした。
飽きることのない二面性
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スウェーデン家具の父として巨匠のひとりに数えられる、Carl Malmsten(カール・マルムステン)。芸術教育にも力を入れていたことからプロフェッサーの異名をもつ、スウェーデンを代表する家具デザイナーです。
自然の優しさを追及したことでも知られる彼のデザインコンセプトは、「全ての角は無くすこと」。自然界では見られない鋭利な先端や角を用いないデザインを貫きました。
そして、代表的なスツールにもテーブルにも収納家具にも、使われているのはパイン材。彼が求める自然のフォルムを表現するのに適していたのでしょう。
頭の中に「マルムステン=パイン材」の思い込みができあがっていたので、今回のスツールを初めて見たときは正直驚きと困惑を隠せませんでした。
調べてみると、このバーチ材のスツールの名前は「ハダル | Hadar」。ただ「バイキング | Viking」や「カペラ | Capella」と紹介されていたりもして、実をいうとこの名称が確かかどうか定かではありません。
…それほどまでに世に出回っていない希少なプロダクト、ということでご理解頂けると幸いです(座面裏には「CM」の刻印が入っています)。
反り上がった座面縁や装飾のようにも見える脚部と座面の接合部は、有名な「ヴィジングソ | VISINGSO」にも共通するデザイン。異なるのは、リボン型のくり抜きが設けられていること。
これは、持ち運びできるように作られたと思われ、サウナスツールとしての役目があったのかもしれません。いずれにせよ、上から眺めた時のチャームポイントととして、実用性だけでなくデザイン性も高めているようです。
そして、見逃してほしくないデザインがもうひとつ。脚部が扇形に削られていることです。一見四角柱に見えるのに、内側から見ると丸脚なんて、相当にこだわりがないとできないデザイン。
外面は直線、内面は曲線という人間でいうツンデレみたいな良い意味での二面性が、シンプルさの中に奥深さと味わい深さを感じさせてくれます。
すべての角が削られた優しさと柔らかさ、見る角度によってあらわになる直線的フォルムなど、実際の自然のように見飽きることはありません。
佇まいの素晴らしさについ眺めていたくなりますが、もちろん観賞するだけでなくぜひ実用していただきたい逸品。広い座面がしっかり身体を支えてくれますが、クッションをご活用頂くとより快適に着座頂けます。
バーチ材のオレンジ味のある木肌に、パイン材とはすこし違った懐かしさを宿すマルムステンのスツール。なんだか自然と共にあれというメッセージが聞こえてくるようです。
**お買取りさせていただき、ありがとうございました。