Carl Hansen & Son
CH24 Y Chair
老若男女問わず世界中から愛され続けている北欧家具。
その中核とも言えるデンマーク家具は、シンプルでナチュラルなデザインが多いため日本家屋との相性も良く、様々な場面で活用されています。
本日は、そんな北欧家具に興味を持った方なら必ずそのデザインに触れるであろう、椅子の巨匠が手掛けるダイニングチェアのご紹介です。
ウェグナーの美学
今回ご紹介するのは、1950年にデンマークの家具メーカー、“カール・ハンセン&サン Carl Hansen&Son”社より発表した『CH24』。
世界中、あらゆるメディアで取り上げられ、家具がお好きな方なら誰もが目にしたことがあるのではないでしょうか。
デザインを手掛けたのは20世紀を代表する家具デザイナー“ハンス・J・ウェグナー Hans J. Wegner”。
デンマークデザイン界において、最も創造性と独創性に溢れたデザイナーと呼ばれ、92年の生涯で500脚以上の椅子をデザインし、数多くの名作と呼ばれる椅子を残してきた椅子の巨匠です。
1914年にデンマークとドイツの国境の町、トゥナーに生まれたウェグナー。
14歳から家具職人のもとで修業をはじめ、17歳という若さで家具職人の資格を取得。その後コペンハーゲンに移り、1936年から1938年までコペンハーゲンの美術工芸学校に在籍し、家具デザイナーとしての基礎を学びました。
シンプルな美と機能性を追求し、家具そのものが持つ魅力を最大限に引き出すこと、又、自然な柔らかさを感じることが出来るデザインは、10代の時に培われた素材となる木々への深い造詣と、敬意から生み出されたものだと言えます。
CH24は背もたれの支柱がY字のように見える事から、別名「Yチェア」と呼ばれ、海外ではY字が鳥の骨にも見えることから『ウィッシュボーンチェア』とも呼ばれています。
背中を支える支柱をYの字にすることで、もたれかかった時に背骨が当たらず、快適に座ることができます。
フレーム部分はオーク材を使用。背もたれとアームの部分は曲木加工で作られており、シンプルな形状ながら体をしっかりと支え、緩やかなフォルムが体を包み込むような仕上がりとなっています。
座面部分には樹脂を含ませた紙を紐状に撚って作られる、ペーパーコードを使用。
紙製の紐、と言われると耐久性はどうなのか?と心配になるかもしれませんが、ペーパーコードは繊維の長い、天然のパルプから出来ているので、簡単には破けないそうです。
そんな頑丈な紙を三枚ねじり合わせて作られており、布や革と同じくらいと耐久性は抜群。又、適度な弾力性があり、使い込むことで柔らかくしなり、自分の身体に馴染んでいきます。
職人によって丁寧に織り込まれたペーパーコードは、通気性にも優れ、夏は涼しく、冬は暖かく、永く快適な座り心地をお楽しみ頂けます。
脚先に向かってテーパードがかけられた脚部、前脚と貫部分は直線、フレームと後ろ脚は曲線と、直線と曲線を上手く組み合わせたデザインは、どの角度から見ても美しく、「椅子には裏側がありません。あらゆる側面と角度から美しくなければなりません。」 という名言を残したウェグナーのデザインに対する深い拘りが感じ取れます。
フレームはブラックラッカー、ペーパーコードもブラックカラーで仕上げられており、上品でモダンなスタイル。
洋室だけでなく和室にも合わせやすく、どんなインテリアにも合うオールラウンダーなアイテムです。
発表から70年以上経ったとは思えないほど洗練されたデザイン。
ウェグナーの傑作のひとつである「CH24」、Yチェア。
「椅子に求められる機能性と見た目の美しさを同時に満たす椅子」と多くの人が評価する、ハンス・J・ウェグナーの代表作、是非お部屋に迎え入れてみてはいかがでしょうか。