Cassina ixc.
LC2
無駄を排除しデザインを完成させる。
シンプルなデザインは世に溢れていますが重要なのはそのシンプルが意味を持っているか否か。
ただ削ぎ落すだけではミニマルデザインとは言えません。
今回ご紹介させて頂くのは最小の構成でありながらも最大の快適性を持つ名プロダクトです。
大いなる快適
本日紹介させて頂くのはイタリアモダンインテリアの最高峰“カッシーナ・イクスシー / Cassina IXC.”の代表的プロダクト「LC2」。
ミニマムな構成ながらシンプルとは形容しがたい雰囲気を持つソファです。
この圧倒的なデザインを手掛けたデザイナーはこのソファをこう呼称したそう。
「大いなる快適」=「グランド・コンフォール(Grand Comfort)」
デザインを手掛けたのはフランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエと共に「近代建築の三大巨匠」として位置づけられる巨匠、ル・コルビュジエ。
そして彼の従兄弟でもあり建築家、デザイナーであるピエール・ジャンヌレとシャルロット・ぺリアン。
1928年にデザインされた「LC2」はル・コルビュジエを筆頭に3人のデザイナーによってデザインされた共同作品として発表されました。
今でさえソファの名作として認知されているLC2ですが、発表時には多くの物議をかもしたそう。
装飾的要素を排除したミニマリストな作品は人々の目には奇抜に映ったのです。
LC2の生産はまさしく挑戦。
この革新的なデザインを受け入れたのがカッシーナでした。
そして1964年。
カッシーナはル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ぺリアンによる4つのモデルの復刻生産を始める契約を結びました。
以降LC2を含む素晴らしいデザインはカッシーナの高い技術とクラフツマンシップをもって生産され続けています。
最小の構成で最大の快適性を実現したソファLC2。
スチールパイプのフレームに背、座、アームのクッションを落とし込んでいくというシンプルな構造ながら、想像を超える快適性、座り心地を持っています。
一切の装飾を排除しながらも美しく、これ以上足し引きは敵わないとされた美の最終形。
現代でもこれを超えるデザインと快適性はないと言われています。
究極のシンプルを叶えるための繊細なディティールもポイント。
LC2の魅力を最大限に引き出すスチールのなめらかな曲線は特殊な溶接によって実現されています。
これもまた、デザイナーの強い意思。
見えないつなぎ目はまさに完璧といえます。
最小限と最大限のその両方。
20世紀を代表する名プロダクトと称される理由は全てに宿っています。
コルビュジエの追求したグランド・コンフォールはこれからも更新されることはないのかもしれません。
大いなる快適を持つ逸品のご紹介でした。