Cassina
292 Hill House
私はこういう家具が大好きです。
洗練されているのに、どこか遊び心も感じられるデザイン。
普通に使う椅子だったら、ここまで高い背もたれはいらないはずなのに、それがこの椅子だけの大きな魅力になっています。
色使いや構造はとてもシンプル。
それでも、一目見ただけで強く印象に残って頭から離れないような存在感があり、静かなのに不思議と目を惹かれる。
そんなオーラをまとった家具には、いつも心を奪われます。
静かに惹きつける、美しい存在感

今回紹介するのは、Cassina (カッシーナ)の「Hill House 1」。
1902年に、スコットランドを代表する建築家・デザイナー、チャールズ・レニー・マッキントッシュによってデザインされた一脚です。
自信が手掛けた代表建築「ヒルハウス」の寝室の為に生み出され、座るためだけではなく、空間を美しく演出することまで考えられています。
100年以上前のデザインとは思えないほど新鮮で、現代のインテリアにも自然と溶け込む普遍的な魅力を持っています。

この椅子を目の前にすると、まず視線と奪われるのは、やはり特徴的なハイバックです。
普通の椅子として考えれば、過剰とも思えるほど高く伸びた背もたれ。
それでもその大胆さが決して奇抜には映らず、この椅子だけの美しさとして成立しています。
縦と横の直線だけで構成されたシンプルなデザインだからこそ、そのシルエットがより印象的に映り、見る人の記憶に残る一脚だと感じました。

全体はブラックで統一されていますが、決して単調な印象はありません。
木製フレームの落ち着いた質感と、シルクベルベットならではの上品な光沢を持つ座面。
同じブラックでも素材によって異なる表情が生まれています。
また、まっすぐで細くシャープなフレームと、ふっくらと厚みのある座面という対照的なフォルムも美しく、直線と柔らかな曲線がお互いを引き立て合ているように感じました。

もし私がこの椅子を迎えるなら、座らずに、何も置かずに、まっさらな一角に飾って眺めたいです。
斜めから光を当てて木製フレームとシルクベルベットの座面の質感を感じつつ、壁に移る影までもひとつの作品となるように。

家具でありながら、ひとつのアートピースのような存在で、そこにあるだけで空間の雰囲気を変えてしまう力を持っていると思います。
実用性だけでは測れない価値が、この椅子には詰まっています。
真っ白でミニマルな空間にぽつんと置いても、深いブルーに包まれた空間に合わせても、暗い部屋でスポットライトを当てても、ビンテージ家具が並ぶブラウンを基調とした空間に置いても、それぞれ違った表情を見せてくれそうです。
どんな空間にあっても周囲に埋もれることなく、静かで凛とした存在感を放ち、自然と主役の座をつかんでしまう。
そんな特別な魅力を持ったチェアでした。































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