Castelli
DSC 106
環境や空間に馴染む見た目の美しさと使い心地が必要とされる公共家具。
インダストリアルデザインと呼ばれるそれらは時に圧倒的な魅力を持つこととなります。
美しいだけのデザインや使い心地だけの家具には無い力強い説得力。
本日紹介させて頂くのは、公共施設の為にデザインされたインダストリアルデザインの名作です。
力強い魅力
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「DSC106」、通称カステリチェア。
名ビンテージとして国内でも多くのファンを持つスタッキングチェアです。
このチェアが発表されたのは1965年。
元々は公共施設用にデザインされたものでした。
デザインを手掛けたのはイタリアのインダストリアルデザイナーのジャンカルロ・ピレッティ。
イタリアのカステッリ社でデザインを手掛け、多くの名作を輩出した名デザイナーとして知られています。
彼のデザインの共通点はスタッキングや折り畳みを通した高い合理性。
現在の折り畳みチェアの原型とも称されるチェアデザインも手掛けており、それは折りたたみ椅子の歴史を変えたとも言われています。
プライウッドの背と座面。
それらを引き締め素晴らしいチェアデザインを完成させる脚。
スタッキング時も美しく、すっきりとした印象をも与えてくれます。
広めに設計されたシートによるゆったりとした座り心地も魅力的。
シンプルな構造ながら長時間の着座にも適しています。
このチェアの評価すべき点は特徴的な仕様にもあります。
シートに金属を打ち込むことなくフレームを結合させるクランプ式構造。
プライウッドをフレームで挟み込むこの構造により使用に伴う負担を極限まで抑え、より長い寿命を与えています。
見た目の美しさと座り心地、スタッキングによる実用性。
使い続けた後を想像するのもまた、インダストリアルデザインです。
この構造はピレッティの発明と言われ、後のチェアデザインに大きな影響を与えました。
「デザインはファッションではない。単に目を引くもの、外見だけのものではなく、使ってみてはっきり機能がわかるものがデザインの使命である」
ジャンカルロ・ピレッティは強いデザイン哲学をもって名作を完成させました。
用の美という言葉がありますが、このチェアにも使うための美しさを感じずにはいられません。
暮らしの中で何度も触れるものこそ、デザインの力みなぎるものを使いたいものです。
力強い魅力を持つ、名プロダクトのご紹介でした。