Airbourne
karate Lounge Chair
辰吉のときの記憶はなく、ボブ・サップのときはまだ面白さが分からず、魔裟斗のときにはじめて泣きました。格闘技を見るようになったのは、そこからです。
ただそれぞれのルールはあまり分かっていなくて、いつもこれは寝技あり?となったり、どの選手がどの格闘技?となるので、にわかにも届かないにわかファンです。
いわゆる強い人のその圧倒的な強さを見るのが好き。何度も何度も立ち上がるあきらめないファイターを見るのも好き。そして、何より試合を楽しんでいる姿を見るのが好きです。
精神統一の押忍わり(お座り)
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そんな風に楽しませてくれる格闘家のひとりが、堀口恭司。相手の強さを楽しんでいるように見える彼の試合は、つい応援したくなります。
知らなかったのですが、彼は空手出身。と聞くともしかしたら、ファイト中のその振る舞いには我を押して忍ぶという「押忍」の精神が根底にあるのかもと思ったりします。
空手を経験したことのない人(私も!)でも耳にしたことがある押忍には「非日常を意識して己を高める」「己を鍛え上げる」「積極的と忍耐の緩急をつける」なんて意味合いが隠されているそうです。
そして空手の名をもつこの椅子もまた、そんな思いが込められているのかもしれません。
1976年にフランスのポンピドゥーセンター(美術館)のために、Michel Cadestin(ミシェル・カデスティン)がデザインした「karate | カラテ」。フランスのairborne(エアボーン)社から発表されています。
チェアやデスクなど、同施設のためにさまざまなアイテムを手掛けたほか、インテリアデザイナー兼建築家としてキャリアの中で多くの作品を生み出した氏。ピエール・ポランやロジェ・タロンと時を同じくしたデザイナーのひとりです。
グラスファイバー製のシェル × レザーシートの佇まいは、スペースエイジ。70年代に建てられたポンピドゥーセンターの前衛的な建築デザインに引けを取らない、存在感が際立ちます。
また、今回入荷したのはオールホワイト。この椅子には絶対白しかありえないと思っています。スペーシーなデザインには外せないカラーリングという理由もありますが、道着にしか見えないから、です(名前に引っ張られているだけでしょうか?)。
なお、ここまで正面・横面・後面の写真をご覧いただいていますが、実はチェアの位置は全く動かしていません。シェルごと水平回転もするのです。
そして何より、座ったときのゆったり加減、背もたれの角度、座面の高さ、アームの位置。すべてがしっくりくる座り心地は控えめに言って、最高。本当に一度座ったら立ち上がれません。
礼と節を重んじる「karate」はチェアになっても、凛とした秩序をまといます。疲れたときにはしっかり体を休めてくれる、しっかり休んだらやる気が湧き出てくる。
きっとこの椅子に腰掛けたなら、嫌なことや辛いことがあってもまっさらな気持ちにさせてくれそうです。
わが道にいかに険しき山あれど、踏みてぞ越えん押忍の精神。今度は空手も見てみようかなと思い始めました。