Artek
Table 81A
昔は派手なデザインが好きだったけれど、今は落ち着いていてシンプルなものに惹かれる。それは服でも、家具でも同じ。けれど、ただ無難なだけのものでは物足りない。
シンプルなものを選ぶとしても、そのブランドの背景や思想、素材へのこだわりなど、しっかりとした“芯”を感じられるもの、あるいは少しだけ個性のあるものがいい。
そう考えると、デザイナーズ家具や建築はとても面白い。
一見すると簡潔な見た目や構造の中に、数えきれないほどの議論や改良が重ねられて完成しているからだ。
このブランドを見るたび、そんなことを自然と考えてしまいます。
時間と共に育てる家具


本日ご紹介させて頂くのは、1935年フィンランド・ヘルシンキで設立された北欧を代表するインテリアブランド “アルテック Artek”より「Table 81A」。
「家具を販売するだけではなく、展示会や啓蒙活動によってモダニズム文化を促進すること」を目的に4人の若者によって設立された同社。
アート(Art)とテクノロジー(Technology)を合わせた造語を社名に掲げ、芸術と技術を融合させた、実用的かつ洗練された新たな価値を持つプロダクトを数多く展開しています。

デザインを手掛けたのは、Artek創設者の一人であり、20世紀を代表する北欧の建築家・デザイナー“アルヴァ・アアルト Alvar Aalto”。
建築をはじめ、家具やガラス食器などの日用品、さらには絵画まで幅広く手掛けたアアルト。
自然素材の美しさを最大限に活かした彼の作品は、人々に安らぎと温もりを与え、今なお世界中で愛され続けています。

アアルトが1933年にデザインしたテーブルシリーズは、Artek創業当初から現在に至るまで製造が続くロングセラー。
その最大の特徴ともいえるのが、曲木技術が光るこの美しい「Lレッグ」です。
家具の大量生産を可能にする革新的な構造として、アアルトが家具職人とともに開発し特許を取得したこの技術。
機能性・合理性・実用性、そして美しさを兼ね備えたLレッグは、現在でもArtekの多くの製品に採用されています。
無駄を削ぎ落としたシンプルなデザインだからこそ、場所や用途を選ばず、暮らしに自然と溶け込む。
長きにわたり愛され続けている理由は、まさにそこにあるのではないでしょうか。


今回入荷したのは、Lレッグが6枚レイヤー仕様となった、50〜60年代頃と推定されるビンテージの一台。
経年によって深みを増したフレームの色合い。リノリウム天板のくすみや細かなダメージも相まって、現行品では表現できない味わいを醸し出しています。
デザイナーズ家具と聞くと、傷をつけてしまうことに躊躇してしまいがちですが、個人的にはビンテージの製品こそ、気にせず日常で使ってほしいと思っています。
使用の過程で生まれる傷や塗装の剥がれ。お子様がつけてしまったマーカーや絵の具の跡さえも、やがてはその家具だけの個性となる。
負の要素に見えるものさえも含めて、時間とともに育てていくことができるのが、ビンテージ家具の魅力ではないでしょうか。

究極のシンプルさと確かな造り、そして快適な使い勝手。
製造から半世紀以上が経った今なお評価され続けるArtekの名作「Table 81A」。
シンプルな造形の中に込められた、デザイナーと職人のこだわりを、ぜひご自宅で感じていただきたい一台です。











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