UK Vintage
Card Table
ドロップリーフにドローリーフ、サザーランド、テレスコピック。いわゆる伸長するテーブルにはさまざまな構造がありますが、その原型が誕生したのは16世紀の初期頃だそうです。
日本でいうと戦国や安土桃山時代。そう考えるとエクステンションテーブルの歴史ってとっても長いです。
古くからその機能美で暮らしを便利にしてくれていただけあってとりわけめずらしい家具というわけではありませんが、今回はあまりお目にかかれないギミックをもつ1台でした。
エレガントに、くるっ&ぱかっ
古い歴史の中で17世紀後半に生まれたとされるゲームテーブルも実はエクステンションテーブルの仲間のひとつ。
当時流行したカードゲームを楽しむために作られた専用テーブルで、天板が広がるだけでなく滑り止めのフェルトが貼られていたり、細かな仕切りの付いた抽斗が付いていたりとあらゆる仕掛けが散りばめられています。
でもこちらのテーブルは一見コンソールがダイニングテーブルに早変わりする普通の伸長式テーブルのよう。ゲーム用らしい分かりやすい特徴が見当たりません。
ただ天板の拡げ方が回転式だったり、ボックス型の収納スペースが備わっているのはなんだかめずらしい。たしかパン生地をこねるテーブルにも大きな箱が備わっていたような…といろいろな考えが頭をよぎります。
一体このボックスには何をしまうんだろうという疑問をきっかけに辿り着いた本当の正体。ここまで日常になじむデザインのカードテーブルはやはりあまり見たことがありません。
普段は折りたたんだ状態で飾り台として使い、皆が集まった時には天板を開いてカードゲームに明け暮れたのでしょう。上流階級の人たちが、エレガントにくるっとしてぱかっとする姿を想像するだけでもおもしろいものです。
もちろん天板の反りや脚部の歪みなどアンティークなりの傷みがあるので、実用においては優しさと心配り、そして少しの工夫が必要ではありますが、実際に使うのならば食卓兼デスクとして(天板にストッパーがないので壁付けでお使いいただくと安心です)。
美しいマホガニー材の艶やかな杢目に控えめなターニングレッグをあしらった上品な佇まいは、生活にもすんなりと溶け込んでくれます。
卓上からオンラインへと遊び方が変わっても、専用の家具を生み出すほどに人々を虜にし生活に根付くゲームの文化。
現代にもゲーミングチェアなるものがあるように、今も昔も快適に遊びたいというゲームに対する思いは変わらないようです。
食事も仕事や勉強もこれ1台。普通のテーブルに見せかけているだけあって、こっそりゲームを楽しんでもきっとこのエクステンションテーブルなら見つかることはなさそうです(密かに食べたいおやつを隠しておくのもよいかもしれません)。