Randers Mobelfabrik
"Model.57" designed by Kurt Østervig
今回、経堂店に入荷したのは、Randers Møbelfabrik社のModel.57。
一見すると、普通の北欧のラダーバックチェア。
ところが、よく見ると背もたれがちょっと変わっている。
中央に向かってフレームがぐっとせり上がり、まるで一本の矢印が天に伸びているような形。
「なんで、ここだけこんな形なんだろう?」
そんな疑問から、この椅子をデザインしたKurt Østervig(カート・ウストヴィ)について調べてみました。
すると、このちょっとした「クセ」が、どうやら彼のデザインとも無関係ではなさそうです。
天に伸びる、一本の矢印

Randers Møbelfabrikは1919年に創業したデンマークの家具メーカー。そして、このチェアを手掛けたのがKurt Østervig(カート・ウストヴィ)です。
1912年にオーデンセで生まれたØstervigは、もともと造船を学んでいたという少し変わった経歴の持ち主。
金属を扱う造船の世界から、木や家具への関心をきっかけに家具デザインへと転身し、E. Knudsenのデザイン事務所を経て、1947年には自身の事務所を設立します。

その後はRanders Møbelfabrikをはじめ、スカンジナビアのさまざまな家具メーカーと協業。
チェアやテーブル、収納家具など幅広いデザインを手掛け、ミラノ・トリエンナーレへの出品や、ニューヨーク近代美術館で作品が紹介されるなど、国際的にも評価されました。

そして調べていて面白かったのが、ØstervigはこのModel.57だけでなく、三角形や幾何学的な形をデザインへ積極的に取り入れていたということ。
例えば「Butterfly Chair」では、背もたれを少し変形させた二つの三角形を組み合わせています。また、テーブルの脚の配置などにも三角形を取り入れ、一般的な構造から少し外した形をつくっています。

直線的なラダーバックチェアに、中央へ向かって伸びる幾何学的な形をひとつ加える。
Model.57について、この意匠にした理由まで明確に語られた資料は確認できませんでしたが、こうしたデザインの傾向を見ると、このちょっとした「クセ」もØstervigらしさのひとつなのではないかと思えてきます。

そして、北欧ビンテージの木と言えばお馴染みの、長い時間を経て飴色に変化したチーク材もしっかり素敵です。赤みを帯びた木肌と細かな木目が、ラタンの軽やかさと相まって、チェアに落ち着いた雰囲気を与えています。うん、素敵。

最初は「なんで、ここだけこんな形なんだろう?」と思ったModel.57。
それがØstervigの他の家具を調べていくうちに、「なるほど、こういうことか」と少しずつ繋がっていきました。
こういう瞬間があると、家具を見るのがますます面白くなります。ただ椅子を眺めるだけなら、たぶんここまで気にならなかったはずです。
でも、誰が、どんな家具をつくってきたのかを知ってから見ると、背もたれの一本の線まで妙に気になってきます。
そういう意味でも、このModel.57は、調べた後にもう一度見たくなる椅子でした。では、また。































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