NC Møbler
Danish Vintage Rosewood Dresser by Arne Vodder
家具に触れていると、時折「用の美」という言葉だけでは片付けられない、デザイナーの執念のようなものを突きつけられる瞬間があります。
今回ご紹介するのは、まさにそんな一台。
1960年代、デンマークのオーデンセという街で、静かに、けれど確かな美意識を持って家具を作り上げていた「NC Møbler」のドレッサーです。
同社を設立したニールス・クラウセン自身も優れたデザイナーであり、当時の黄金期を支えたブランドですが、今回入荷したものはさらに特別な背景を持っています。
~用の美の先へ~

デザインはフィン・ユールに師事した巨匠アルネ・ヴォッダー。彼は、簡単に言うと、直線と美しい曲線を融合させた収納家具の天才。
木目の陰影をアートのように魅せる、北欧の偉大なデザイナーで、このドレッサーの意匠からもしっかりと感じる事ができると思います。

『人魚姫』などで知られる童話作家アンデルセンの故郷であり、古いレンガ街が残るオーデンセ。
このおとぎ話のような街で磨かれた「NC Møbler」の木工技術が、巨匠ヴォッダーの有機的な美学を歪みなく形にしています。

引き出しに触れた瞬間、彼の執念を実感するはず。
四角く退屈になりがちな収納家具に、手仕事による滑らかな三次元の曲線を融合させるのがヴォッダーの天才たる所以です。
ローズウッドの木目に深い影を落とし、光の加減で表情を変える造形美には、思わずじっと見惚れてしまいます。

さらに注目したいのが、天板の両端がわずかに反り上がったこのデザイン。直線的な鏡の佇まいに対して絶妙なアクセントとなり、全体のプロポーションを端正に引き締める要素となっています。

右側には、化粧水や香水などのボトルがすっぽり収まる深さのある抽斗を配置。日常の使いやすさに寄り添いながら、その深さ自体が外観に心地よいアシンメトリーを生み出しています。

天板の上をいつでも美しく保てるように、雑多になりがちな化粧瓶をあえて隠して収納させるといったような、「使い手への配慮としての形」が、そのままデザインの主役へと昇華される。
これこそが、黄金期の北欧モダニズム思想がたどり着いた、ひとつの幸福な結末と言えるでしょう。


また、幅80cmという日本の住空間にも収まりの良いサイズ感です。すっきりと伸びた細身の脚部が引き立つからこそ、合わせる椅子をじっくりと選ぶ愉しみも広がります。

職人が削り出した本物の曲線に触れる、そんな贅沢を毎日の身支度に。
半世紀以上の時を越えて届けられた特別なヴィンテージを、ぜひあなたのお部屋に迎え入れてみてください。































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