KOTOBUKI side shell chair
商業主義に偏ったモノや、流行に左右されるモノ。
それらを否定し日本のインダストリアルデザインの確立と発展における最大の功労者となったデザイナー、柳宗理。
作家性を求めない「アノニマスデザイン」を理想とする姿勢を生涯貫き、個性を持ちながらもシンプル、且つどこか匿名性を感じさせるデザインは今日まで様々なプロダクトデザインに影響を与えてきました。
生活に自然と溶け込むデザイン故に、知らずに使っていたという方も少なくありません。
デザイン哲学から姿勢、そして生み出されるデザインその全てが素晴らしく、彼のデザインを超えるプロダクトはこの先生まれないのではないかと思わせる程。
日本が世界に誇る名デザイナーが手掛けた名プロダクトが入荷致しました。
全てに宿る「美」のかたち
柳宗理の代表作のひとつとして知られる名プロダクト、コトブキ社のサイドチェア。
程良いクッション性のシートとFRP素材の自然なしなり。
場所を取らず収納できるスタッキング機能。
そして佇まいの美しさ。
凝縮された隙の無い完璧なデザインこそ柳宗理デザインといえる名作です。
今回紹介させて頂くのは香川県の施設で使われていたシェルがレッドの別注モデル。
オリジナル仕様のものと、ファブリックメーカー、クヴァドラ社のトーナスシリーズに張り替えたもの。
リバコ社のNCシリーズに張替えた3タイプをセレクトいたしました。
Original Fabrik

別注でレッドのシェルが採用されたこのモデル。
オリジナルのファブリックはグレーのワントーンでした。
落ち着いた印象のレッドと良く纏っており、モダンな雰囲気を漂わせます。

Kvadrat tonus

1968年にデンマークで設立されたクヴァドラ社。
伝統的な北欧デザインに深く根ざし、良質なファブリックを作り続けています。
トーヌスは伸縮性の高さと鮮やかな単色が特徴のシリーズ。
印象的な造形を最大限に活かすことから、多くの名チェアに採用されているファブリックでもあります。
無駄の無いかたちと美しいラインのこのチェアを引き立ててくれる良いチョイスです。

Ribaco NC

リバコは明治初期から続く老舗のファブリックメーカー。
NCは業界でもロングランの名ファブリックです。
名の由来は「ニューカラー」。
その名の通りキャッチーな仕上がりに。
落ち着いた印象のグレー×ライトグレー、柳宗理らしいブラック×グリーン、鮮やかでポップなブルー×ライトブルーの3点をセレクトしました。


モノに溢れる現代。
どの分野のプロダクトでも使い捨てという選択が出来るようになりました。
「いいデザイン = 高価である」が当たり前となり、安価なプロダクトとデザイン性が重要視された高価なプロダクトの差は更に大きく開いたように思います。
いいデザインとは内面から溢れるもの。
生活の中にあってこそ輝くもの。
手軽と手ごろは違うと思うのです。
人々の暮らしに長く寄り添うことを前提に作られたこのチェアに、こうして新たな命を吹き込むこともまた、我々なりのリスペクトと提案でもあります。
今一度、再確認したい名作、ジャパニーズミッドセンチュリーを作り上げた歴史的な一脚のご紹介でした。