2019年もあと僅か。
クリスマスが終わり自由が丘もすっかり年末ムードです。
インプションの営業も残すところ2日となりました。
自由が丘店のブログを度々書かせていただいているわたくしどいれんですが、入社して3か月、デザイナーズからビンテージ、レアアイテムまで様々なアイテムを紹介させていただきました。
本日はどいれんブログの中でも印象に残った個人的な偏見によるベストセレクションを紹介させて頂きます。
jiyugaoka shop 2019 Pick up items
ALESSI DEDE
先ずはアレッシィの「デデ」。
デザイナーはご存知フィリップ・スタルクによるもの。
インパクトとユーモアあふれるフォルムはまさにスタルクデザイン。
スタルクのデザインの特徴はその全てがモノとしての意味を持っている点。
デデもただのオブジェではなくドアストッパーという役割を持っています。
その独特の雰囲気と顔のない表情には驚かされました。
こちらは廃盤アイテム。
探している方も多かった為か早々に完売してしまいました。
yamagiwa TALIESIN
そしてお次は巨匠フランク・ロイド・ライトが遺した、ゆらめく建築物「タリアセン1」。
その魅力的な造形と灯の優しさは照らすライトというより建築物から零れる灯。
和室の一角で使われる照明、行燈を彷彿させる和紙調のシェードが日本人の心にも馴染むのかもしれません。
こちらは自由が丘店にて展示しておりますので、実際にご覧いただけます。
Louis Poulsen Flower Pot
ヴェルナーパントンによるフラワーポットの入荷も印象的でした。
ものに溢れる現代においてシンプルな造形とポップなカラーリングはそこら中で見つけることが出来るかもしれません。
わたくしどいれんがフラワーポットをプッシュしたいポイントは、時代を映して誕生したデザインという点。
60年代、ベトナム反戦を訴えた「フラワーパワー運動(武器ではなく花を)」。
色彩と光を操るその活動に世界から注目を受けていたヴェルナー・パントンは、サイケデリック全盛の平和を訴えるヒッピーカルチャーと共鳴しこのフラワーポットを生み出したそう。
現在も色褪せることのないモダンライティングとして、世界中の様々な空間を美しく彩っています。
入荷直後に完売した人気商品でした。
vitra Eye Clock
あまりのインパクトに驚かされた「アイクロック」!
ミッド・センチュリーを代表する建築家・デザイナーであるジョージ・ネルソンのオフィスのスタッフであるルシア・デレスピニスによってデザインされました。
ネルソンクロックに共通しているのは時計でありながら時計を超越した作品であるという点。
大胆かつ繊細なデザインにはスタッフも釘付け。
こちらも即完売した商品でした。
Kartell Classical Chair 4867
そしてプラスチックの美しさを知らしめた、彗星のごときデザイナーの傑作。
鬼才ジョエ・コロンボによるClassical Chair 4867。
身の回りに溢れるプラスチック製品ですが、当時プラスチックは新素材で一体成型は困難でした。
多くの苦難を乗り越えながらデザインを決してあきらめなかった、ジョエ・コロンボを語る上で欠かせない歴史的名作。
こちらは一脚のみ自由が丘店にて展示しております。
プラスチックとは思えない深いこだわりと座り心地を体感していただけます。
松本民芸家具 欅無垢材 アームチェア
日本の家具、日本の民藝も負けていません。
圧倒的杢目と存在感を持つこのチェアは松本民芸のラウンジチェア。
もはや説明不要の松本民芸ですがこちらのチェアは一層特別な一脚。
百木の長と詠われるミズメザクラを主材としている松本民芸家具ですが、こちらのチェアには、更に入手困難な欅の無垢材が贅沢に使用されています。
漆で仕上げることにより極限まで引き出される杢目の深みと味。
本当に良い物は残り続けると言われますが、素晴らしい技術と物が現代にまで残っているのは先人の努力の結晶なのかもしれません。
自由が丘店に展示しておりますので、実物をご覧いただけます。
未来に残したい逸品です。
IB ANTONI IMAGINATION QUALITY DANISH INDUSTRY
家具以外のアイテムも入荷するのがインプション。
時折アート作品も入荷しますがその中で唯一ブログに登場したのがイブ・アントー二のポスターです。
人々の暮らしや娯楽、苦悩を映すアート作品。
第二次世界大戦の終焉により、皮肉や社会批判をベースにしたアートが流行した当時、唯一社会をキュートで鮮やかに彩ったのが彼のグラフィックでした。
良く言うと平和な現代。アートは何となくで選ばれがちに感じます。
アーティストの生い立ちや作品の意味や背景を知ることで、作品に込められたメッセージを受け取ることが出来るのかもしれません。
こちらも即完売した商品でした。
karimoku60 K chea
そしてKチェア。モケットグリーン。
モノも人の心も変わりゆくもの。変わらない選択をして消えていったモノも多くありました。
完成から50年経ったKチェアは姿を変えずとも私たちを魅了し続けています。
変わらない確固たるスタイル。
作っている職人さんや関わっている人たちの顔は見えないものの、どこか力強く訴えかけられているような気がしました。
さすが人気商品。私も迷っていたのですがあっという間に完売してしまいました。
stelton Cylinda-Line
ファン感涙のアイテムも入荷。
モダンデザインの金字塔とも称される名作「Cylinda-Line(シリンダライン)」。
デンマークが生んだ、20世紀でもっとも影響力の大きい建築家兼デザイナー、アルネ・ヤコブセンが手掛けたことで知られるシリンダラインですが、こちらはアルネ・ヤコブセン生誕100周年の記念のセット...!
日本で販売されたのは100個のみというかなり希少なアイテムでした。
重厚で高級感溢れるパッケージも生前にヤコブセン自身がデザインしたものを採用しているほどの抜かりなさ。
560ページにもわたるヤコブセン生誕100周年を記念してステルトン社が出資出版した作品集だけでもかなり希少です。
生誕100周年記念セットは即完売してしまいましたが、シリンダラインのアイテムは若干数在庫がございます。
時代を超えて愛されるタイムレスなデザインを実際にご覧いただけます。
KOTOBUKI FRP side chair
柳宗理氏の代表作、KOTOBUKIのサイドチェアの実物をお目にかかれるとは思いませんでした。
大量消費に伴った大量生産が求められた時代に美しさと使いやすさの両方を目的とした多くの工業デザインを手掛けた柳氏。
「モノがどんどん使い捨てられて、ゴミをつくって行くことが経済の繁栄に繋がるというのは、社会の仕組みとしておかしい。それにデザインという名目でデザイナーが荷担しているということに気付くべきだね。」
モノの使い捨てが当然になっているわたしたちに刺さる言葉です。
『 美は人々のためにある 』を実際に体感できる一脚。
希少なアイテムでしたので早々に完売してしまいました。
B-LINE Boby wagon
そしてボビーワゴン。
彗星のごときデザイナー、鬼才ジョエ・コロンボがデザインを手掛けた代表作であり歴史的名作です。
「必要なモノを無駄なく効率的に収納できないか?」という誰もが抱える疑問への回答として誕生したボビーワゴン。
機能的に使える高いデザイン性と省スペース化の両方を併せ持つボビーワゴンは当時のデザインの現場にはあまりにも画期的な製品でした。
まさに機能美の最終到達点といえる逸品です。
雑多になりがちなワークスペースに一台あるだけでかなり助かる、と迷っていたのですが完売してしまいました。
Herman Miller DCM
終わりなき旅の途中、イームズ夫妻が生んだ歴史的傑作「DCM」も入荷。
プロダクトデザイン界を大きな影響を与えた、名作シェルチェアの原点ともなったチェアがこの一脚。
イームズ夫妻のデザインは不朽の名作と称されることが多いですが、まさにその通り。
アメリカの「TIME誌」はDCMを”20世紀最高のデザイン”に選出。同時に「優雅で、軽やかで、快適」とも評価されました。
こちらは自由が丘店にて展示しておりますので実際にご覧いただけます。
ANGLEPOISE Original 1227
タスクランプと言えばこのフォルム。
スプリング式アームランプの元祖、アングルポイズの「Original 1227」も入荷しました。
カリフォルニアのアニメーションスタジオであるピクサーの作品のオープニングに登場するランプのキャラクターのモデルでもあります。
チャーミングなルックスとまるで生き物のような柔軟なアームはジョン・ラセター監督に強い刺激を与えたと同時に1227に心を与えました。
入荷したのは「Original 1227」の復刻版に真鍮パーツとツイストケーブルを使用したクラッシックモデル。
箱付きの未使用品なのでかなりの美品です。
こちらも自由が丘店に展示しております。
馬場勝文 急須 ミルクパン
作家さんの作品も多数入荷しました。
その中でも個人的お勧めがこちら。
馬場勝文さんによる急須とミルクパンです。
シンプルながらもしっかりと芯と個性を感じさせる馬場さんの作品。
「木」と「陶器」の組み合わせがなんとも温もり溢れる逸品です。
直火でも使用できるので、ミルクパンはお粥やお味噌汁を作ったり、少量のお野菜を茹でたり、離乳食用などにもお勧め。
気兼ね無く毎日使える点もお勧めのポイントです。
一点一点異なる表情を持つ作品。
今なら数点在庫ございますので、お好きなものをお選びいただけます。
artek 80A
フィンランドが生んだ20世紀を代表する世界的なデザイナーである、アルヴァ・アアルトが手掛けた名プロダクトもございます。
“artek / アルテック ” の『 TABLE 80B 』はデザイン界にシンプルの衝撃を与えた歴史的名作。
アアルトが削ぎ落しても本質は損なうことは無い。
存分に魅力を味わうことのできる逸品です。
自由が丘店に展示しておりますので、実物をご覧いただけます。
Carl Hansen & son Ychair CH24
ラスト2つはデンマークのデザイン界において、最も創造性と独創性に溢れたデザイナー「ハンスJ. ウェグナー」によるデザインの名チェア。
カールハンセン&サンのYチェアとゲタマのGE240です。
椅子の巨匠として知られ、生涯500脚以上もの椅子をデザインした事で知られるウェグナー。
そのほとんどが名作として国際的に評価を受けています。
この2脚はまさに名作中の名作。
緩やかなカーブを描くアームと、ゆったりとした座面。
ウェグナーはこの椅子でアームと背もたれを一体にするという、それまでの椅子デザインに見られなかった斬新な試みをYチェアにて試みました。
緻密な計算による圧倒的な座り心地は素晴らしく、機能性と見た目の美しさを同時に叶えた名作です。
GETAMA GE240
日本でも人気のシリーズとして知られているGE290を5㎝ほどサイズダウンしたGE240。
アウトラインを削りながらも、クッションはGE290と同じサイズのものを採用。
素晴らしい座り心地を引き継ぎながら、よりコンパクトにリデザインされた為か、日本人の体形にもフィット。
デンマークのイージチェアーとしては小ぶりながらも決して狭くないシートとフレームが生み出すホールド感はまさにウェグナーデザインと言えます。
芸術作品としての家具ではなく実用性を上手く共存させた家具として完成させたウェグナー。
この2脚の名作に言えるのは「本物のデザインは座り心地にある」という事。
どちらも自由が丘店にございますので圧倒的な座り心地を体感していただけます。
以上、どいれんによる2019年ベストセレクトションでした。
2019年も皆様のおかげで沢山の名作、思いのこもった逸品に出逢うことが出来ました。
近年、インターネットやスマートフォン等の媒体の普及でモノを引き継ぐ方法のバリエーションが増えました。
ビンテージやアンティーク等の「リサイクル」がより身近に感じることが出来るようになりましたが、必ずしも良いモノ、大切にしていたモノが残り続けるとは限りません。
モノが残る為の大きな要因は人の想いだと思います。
インプションのモノに対する想いこそが知識であり、お店の商品であります。
モノだけでなく皆様の思い出や想いを共に次に引き継ぐ為の大切な仕事を、これからも全力でやらせていただきます。
2020年も精進してまいりますので、自由が丘店をどうぞよろしくお願いいたします。