特集:福村龍太 Ryuta Fukumura 現代作家の器 ~新しい器が放つ輝き~

UPDATE: STAFF:かつえ
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福村龍太 Ryuta Fukumura
現代作家の器

普段何気なく暮らしている日々に欠かせない食事、色とりどりの料理を盛りつけられる器は用途や時代、技術の進化によって長い歴史の中で数えきれないほどに多種多様なデザインが生み出されてきました。

手で触れ、口を付け、最も人のそばにあるデザインと言っても過言ではない器。

中でも一つ一つ手作業で作られる器には、暮らしを丹精で豊かなものにしてくれる力があるのかもしれません。

新しい器が放つ輝き

本日ご紹介させていただくのは、福岡県うきは市に拠点を構える陶芸家「福村龍太」氏の作品。

父 元宏氏が開窯した「日月窯」を受け継ぐ形で活動する同氏、それまでの陶芸における常識やルールを打ち破った作風から高い人気を得ている作家の一人です。

時には繊細な技術によって、またある時には自然がもたらす偶然の産物からインスピレーションを受けて作り上げられる作品は一つとして同じものが無く、それぞれが豊かな表情を見せてくれるのも一つの特徴と言えます。

そんな同氏の作品の特徴ともいえるのが銀彩をまとった重厚感のある色合いと、でこぼことした表面の仕上げ。

大学卒業後、本格的に陶芸の道へと進んだものの父の作風に影響を受けたこともあり、自らが何を作りたいのか思い悩んでいたという同氏。

そんな中、ニューヨーク在住の陶芸家に誘われ作陶、その際に現地の陶芸家が行っていた自由な作風に感銘を受け現在のスタイルに繋がったのだそうです。

同氏の作品の中からまず初めにご紹介するのはプレートと小鉢。

全体に銀彩があしらわれたプレートは銀の食器と見紛うかのような質感で、シャープかつ気品を感じさせる造りに。

そのプレートとは対照的に、小鉢には器の上半分に銀彩があしらわれ、下半分は白い磁器の素地が残ったデザインに仕上げられています。

続いてご紹介するのは2杯のぐい呑み。

小鉢と同様に銀彩と磁器のテクスチャーを組み合わせたデザインが特徴的なスタイルです。

銀彩と磁器の境目に見えるぼこぼことした質感は金属系の釉薬を組み合わせた化学反応によって生み出されており、旧来の陶芸では失敗とみなされた状態なのだとか。

しかし、あえてその質感を利用することで美しい造形と表面のコントラストに加え、荒涼としたクレーターを彷彿とさせる唯一無二のデザインへと見事に昇華させています。

 

こちらは同じ片口でこそあるものの、印象が大きく異なる2つ。

銀彩が施された片口は丸みを帯びた造形で、金に近い色合いと化学反応によるぼこぼことした質感がアーティスティックな一品です。

対する角片口は銀彩こそ用いられていないものの、同じく陶器ながらマットな風合いの金属を思わせる質感。

こちらは「灰かぶり」と呼ばれる伝統的な焼締めの方法で仕上げられており、銀彩の制作に用いられるガス窯や電気窯ではなく、薪で窯内を熱する登り窯によるもので、新たな技術を開拓しながら伝統的な製法にも精通する同氏ならではの幅広い表現が表れたデザインです。

新たな視点から生み出された独自のスタイルが魅力的な福村龍太の器。

コレクションとして飾っておくのはもちろん、和洋を問わず様々なお料理やお酒にマッチし、食卓をクールに彩ってくれるでしょう。

陶芸作品の世界に新たな風を吹き込んだ逸品をぜひこの機会に。







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