Pierre Jeanneret design
スイスの建築家、ピエール・ジャンヌレ。
近代建築の三大巨匠のひとりとして数えられえるル・コルビュジエの従兄弟であり重要なパートナーとして知られ、数多くの名デザインを手掛けています。
本日はそんな同氏が手掛けたアイテム達に目を向けてみましょう。
ピエール・ジャンヌレの家具たち

現在、祖師ヶ谷大蔵店には計8点の希少なビンテージアイテムを在庫・展示しています。
ギャラリーや専門店を除くと、ここまでの品揃えを一度に目にする機会はあまりありませんよね。
それほど希少性の高いアイテム。
これらの家具がデザインされた経緯などは程々に、私個人で感じた事を皆様にお伝えさせて頂きます。

まずは経緯を簡単にまとめると、、、
1947年にインドがイギリスから独立。
その際に新たに州都を建設することとなり、新たな都チャンディガール都市計画が始まりました。
そして1950年に建築家であり都市計画家のル・コルビュジエが任命され、パートナーでもあったピエール・ジャンヌレも計画に参加することに。
ジャンヌレは都市計画の一環として数多くの家具をデザインし、そのシンプルで機能的なデザインが近年非常に高い評価を得ています。
都市計画というその性格上、多くの家具を用意する必要があったため、「現地で入手のしやすい素材であること」「現地の工芸技術を用い構築が出来ること」に重きを置いた設計となっており、都市だけではなく、人々にも寄り添ったアイテムたちが生み出されました。

最もアイコニックとも思えるのが、X字型やV字型など独特の形状を採用していること。
こちらのイージーチェアはジャンヌレの作品の中でも特に人気の高いアイテムです。
チーク材のフレームとケーンによって編まれたシート。
気温の高いインドである事から選択された組み合わせは、現代においても優れたプロダクトであることが一目で理解できます。
今回入荷したこの2脚には、どこで使われていたかのレタリングは入っていないことから、政府関係者などの個人邸で使用されていたものと推測できます。
恐らく1960年代に製作されたものと思われ、色合いやサイズ感、コンディションが似た2脚となりますので、現地でも隣合わせだったかもしれないですね。
是非ともセットでお迎え頂きたい1脚です。

こちらはコーヒーテーブル。
イージーチェア同様にレタリングがないことから個人宅で使用されていたものでしょうか?
多く見かけるのは天板のΦが60cmほどですがこちらはΦ51cmと少し小ぶりなサイズ感。
他専門店様で同様の天板サイズのテーブルを見かけましたが、高さが違いましたので、脚を切られているか、特注で作られたものなのでしょう。
シャルロット・ペリアンが手掛けたとされるテーブルに似たデザインの物がありますので3人の関係性の深さを鑑みれますね。
裏面の貫のデザインが非常に格好良く、流通量の少ないプロダクトです。

次はガラス天板のコーヒーテーブル。
こちらにはPU/CH/-12のレタリングが入っておりますのでパンジャブ大学(Panjab University)で使用されていた事がわかります。
ソファに合わせるのにちょうど良いサイズ感となりますので応接室などで使われていたのでしょう。
ガラス板を挟み込み、貫で支える。
Vレッグを採用する事で生まれる浮遊感が魅力的な1台です。
小さい方はCHH/T57のレタリング入り。
このサイズのテーブルは資料にも記載が無いことから非常に珍しい1台と言えますね。
サイドテーブルや空間の角などに設置するエンドテーブルやフラワースタンドとして活躍してくれそう。

このデスクは恐らく教育施設で使われていたもの。
幕板にはG.P.J(H)114のレターが入り、その他にも様々なレターが見受けられます。
今回ご紹介する中では経年と使用による劣化やダメージ、補修跡などが1番見られる個体です。
天板に幅は82cmで高さは69cmとやや低めの設計。
ライブラリーチェアなどと合わせても良いですが、イージーチェア合わせてみるのも良いですね。
あとは窓辺などに設置し、ディスプレイテーブルとしてお使い頂くのも素敵。
年代を重ねてきた風合いはやはり格別です。

ベンチは3シーターのやや大きめのサイズ感。
こちらも特徴的なVレッグが用いられ、シートもケーンを使用した軽やかな1脚。
レターはM.L.A.(H)-50(Ⅳ)。
Members Legislative Assembly Hostelという、主に議員の休憩スペースとして利用されていた施設で使用されていたそう。
空間の真ん中や壁際、ギャラリーライクに使用するならラゲッジラックのような使い方も良いかと。

最後はカンガルーチェア。
総合病院のホール用に製作され、多くの個人邸にも収められている人気の高い1脚。
こちらもレターはありませんのでイージーチェア同様に個人邸にて使用されていた事が伺えます。
現在ではCassina ixc.が復刻販売を行っておりますが、当時物は流通量の少なさから価格が非常に高騰。
特徴的なのは3つの三角形が連なりZを形作っているフレーム。
着座してみると思ったよりも心地よく、しっかりと身体を支えてくれる座り心地。
安楽性の高さが評価されているからこそ個人邸で多く使われているのでしょう。
大ぶりなアイテムではありませんが存在感は1番かもしれません。

以上となります。
現在は店頭のメインスペースに展示しておりますのでご来店を頂ければ実際に触れて頂く事も可能です。
個人的にも好きなアイテムとなりますので、皆様と色々考察したりなど楽しくお話が出来たら嬉しいです。
お電話でのお問い合わせも承っておりますのでお気軽にお声掛けください。











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