DANIEL
Early American Series Curio case
皆さんは何かに堪らなく切なくなるような思いを感じる事はありますでしょうか。
例えば卒業式や上京、異動や里帰り、または誰かとの別離。
生身の自分が触れて、魅力を感じていた事柄や関係性の終わりというものは、
身を切られるような思いを感じるものだと思います。
もしも家具に、そんな切ない、憧憬とも郷愁とも言える思いを感じて使い続ける事が出来たなら。それは愛着とも呼べる素敵な感情。
今回ご紹介するのはそんな気持ちを呼び起こすような思いのこもった名品です。
宜しければ最後までお付き合い下さい。
海を渡り舶来に、思いを馳せた港町
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今回ご紹介するのは横浜ダニエルのキュリオケース。
横浜ダニエルは、横浜は元町に古くから家具を製造販売する企業です。
横浜の洋家具。その歴史を遡れば、日本史の上でも重要な、ペリー提督の来航に端を発します。
1853年、黒船の来航によって開かれた港町の内の一つ、横濱村には来日する賓客や商人を歓待するための西洋文化の醸成が早急に必要とされていました。来日していた英国人ゴールドマンは、日本の馬具職人に椅子の修理を依頼したところその出来の良さに驚き、続いて本格的な洋家具の製造を注文します。逆らうことのできない開国の流れはその規模を広げ、産業として育ってゆきます。
明治時代に入り、殖産興業、近代化が進められる中で、政府の招聘により建築家ジョサイア・コンドルが来日します。
氏は鹿鳴館や三菱一号館などを始め日本の重要建築を担当し、現東大工学部にて辰野金吾ら後の日本建築を背負う人材を育成した重要人物ですが、現地女性と婚姻を結び日本に根を下ろします。その子孫である咲寿(さくじゅ)家の方が、現在までダニエルの流れを引き継いでいるのです。
今回のキュリオケースは「アーリーアメリカン」シリーズ。
その名の通りイギリスからの入植がはじまった頃の初期アメリカ開拓時代を表現したシリーズです。
ヨーロッパで用いられていた家具の品のある柔らかさを感じさせつつも、アメリカの広大な土地のような、懐の広いシンプルさを併せ持っています。
モールディングのデザインが無機質で彫刻のような静かな美しさを持ち、目につく装飾は小さな連続する格子など、選び抜かれたものが施されています。
曲線の多用を抑える事で、ケレン味の少ない、オープンな雰囲気となっています。
5面に誂えているガラスは採光性に富み、配置する場所を選びません。
奥面にはミラーが付いているためいたずらにスペースを取ることなく、空間を拡張したような存在感を表します。
棚板は安心感ある5mm厚。ダボによって6cm間隔で調整が可能です。
上部にはプッシュスイッチ式の照明が付いていますので、コントラストの強いディスプレイも可能です。
使用されている木材は樹齢200年の北海道産樺桜(カバザクラ)。
一般的に家具で用いるために乾燥を経た木材の水分含有力は20%程と言われますが、
冷暖房が普及した一般家庭の含有量は10%ほどにも下がります。
ダニエルで使用される木材はその違いによって木に狂いが出ないように8%まで乾燥させ、シーズニングを施します。
チークともチェリーとも異なる明るさを持った木材の肌理はとても細かく、
あぜ道に咲く彼岸花のように目に留まる独特の色であり、そして素材の良さを感じさせます。
イギリスの血と文化を受け入れ、西洋諸国に通用する家具を求め続けたダニエルの家具。
先人の技術に敬意を評し自分達のイマジネーションを発揮した家具は他にはない魅力にあふれています。
ヨーロッパでもあり、アメリカでもあり、日本の横浜でもある家具。それは自分達と関わりのある世界に思いを馳せ、憧れと郷愁をもって作られ続けてきた歴史のあるもの。
使い方次第でイギリスの森の奥、アメリカの大平原プレーリー、日本の港町ヨコハマの山手、色々な雰囲気を感じられます。
素敵な歴史のある家具です。お探しの方はどうぞこの機会にお求め下さい。
DANIEL Early American Series Curio case