小島伸吾
ダイニングチェア
入荷した日からずっと心を捕らえて離さない一脚の椅子があります。
それは少し小振りで、華奢なシルエット。
しかしながら、そんなことはお構いなしと言わんばかりの原始的なエネルギーが溢れ出ている、そんな不思議な魅力が感じられるのです。
生命のかたち
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埼玉県は飯能市に工房を構える木工作家"小島伸吾"氏。
天然木のダイナミズムと繊細な表現から、伝説的な家具職人"ジョージ・ナカシマ"を引き合いに出されることも多い現代の名工のひとりです。
こちらは1979年にオリジナルがデザインされたダイニングチェアです。正式なモデル名があるのかは不明ですが、小島氏の代表作とする向きもあるようです。
こちらは平成9年(1997年)製造の個体となります。
導管がはっきり表れた木目から、タモやクリなどと思われる重厚な無垢材がふんだんに使用されています。背もたれのアーチや座繰りも、手作業で丁寧に加工されており、クラフト家具ならではの温かみが感じられます。
ちなみにかなり小振りに見えますが、座面高さは約42cmと平均的なダイニングチェアと同程度ございます。成人男性でも違和感は無いサイズですね。
この椅子を特別たらしめているのは、何と言っても背もたれの支柱部分。
根を下ろした大樹のようにも、人の姿のようにも見えるアイコニックな造形。どちらにしても、この椅子に漲る「生命感」を象徴していると思いませんか?
ここだけチェリー系と思われる、つるりとした質感の木材がチョイスされている点も気になるポイントです。こうした素材使いからも、独特なリズムが感じられますね。
インプションでも初入荷の小島伸吾氏の作品、いかがだったでしょうか。
不勉強なもので、小島氏のことは存じませんでしたが、これほど魅力的な家具を作られている作家さんのことを知れて、個人的にすごく嬉しい出会いでした。
小島氏はご高齢の現在も、自作の家具で食事が楽しめるカフェを兼ねた工房で、マイペースに制作を続けられているようです。きっと素敵な空間なのでしょうね。時間を作って訪れてみたい場所がまた増えました。