TENDO
H series Kitchen Wagon
ジャン・プルーヴェのスタンダードチェアをリデザインした「小椅子」。さらにリデザインされた「パーシモンチェア」。
坂倉準三の竹籠低座椅子をリデザインした「籐座椅子」。同じく影響を受けたといわれる「低座椅子」。
長大作は、リ・デザインの人でした。では、このキッチンワゴンは…?
(R) ETERNAL DESIGN
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坂倉準三建築研究所では、家具デザインを担当していた長大作。独立後は建築に専念し一旦家具から離れますが、晩年は再びインテリアの世界に戻っていました。
「僕は不器用だから、単線運転で。」そんな言葉の通り、建築と家具を一刀流で行き来した同氏。
一般的な建築家の2倍も3倍も図面を引くなど、ひとつの作品に対する情熱が再構築を重ねるリ・デザインに繋がっているんだとひしと感じさせます。
このキッチンワゴンにも他の家具と同じようにルーツがあるのかもしれない。だからこそ、調べずにはいられませんでした。
でも、分かったのは坂倉氏の事務所に所属していた1970年に発表された「Hシリーズ」のキッチンワゴンだということだけ。
そして天童木工の高度な職人技が光る「コマ入れ成形」が用いられた曲木が作る緩やかな曲線の佇まいが美しいということだけ。
デザイン性のためか強度的な観点のためか、その意図は分からないけれど、真横から見るとフレームが真っすぐではないことが見て取れます。
きっと、「有機的な曲線と幾何学的ラインをどのように統合して美しい調和を醸し出すか」という氏の一途なこだわりから生まれた形なのでしょう。
さらに豊かな風合いをまとったチーク材フレームと比較的汚れに強く実用性の高いメラミン天板。
ちょっぴりすり減った飴色とくすみのあるホワイトのコントラストも、愛すべきビンテージ品として引き継ぎたいと思わせる要素となっています。
実は、情報だけでなく中古市場での流通数も少ないこちらのキッチンワゴン。いつかまた本人にリ・デザインしてほしいという思いも今となっては叶うことはありません。
でも受け継がれる技法による継ぎ目のないフレームは、経年にも耐えうる美しさと丈夫さを生み出しています。
このキッチンワゴンの改良の先、つまり完成形は「 (R) ETERNAL DESIGN」。大切に使い続けたい逸品です。