Tendo
小椅子 by Daisaku Cho・Junzo Sakakura
モダニズム建築を語るうえで欠かせない建築家・坂倉準三(1901-1969)。1929年、28の歳で渡仏し、モダニズム建築史上もっとも重要な建築家のひとりであるル・コルビュジエに学んだ後、日本に多くのものをもたらした巨匠。
「上野市庁舎」や「国際文化会館」などの名建築が今なお、多くの人に刺激と人々の心に穏やかさを与え続けています。
「建築家は誰よりも人間に対する深い愛情を持っていなければいけない」と唱えた同氏ですが、家具にもまた、その優しさと美意識が吹き込まれています。
人への深い愛情からなる名作

最近何かとお世話になっている「坂倉準三」氏。アントラ―チェアや低座椅子に続いて、小椅子も入荷いたしました。
人の感覚や周囲の環境に寄り添うようにデザインされた作品の数々。この小椅子もまるで生きているかのような自然な美しさ。プライウッドという工業製品を使いながらもあまり造り過ぎている感じが出ないのはなぜなんだろう。

そう思って長い事にらめっこしていました。ひとつは、接合部分が多いのにネジなどの金具パーツが見当たらない事。
座面裏にはネジが見えるので、普段生活の視点で見える部分のネジは敢えて見えない様に工夫し作られているのだと思うのですが、天童木工さんの圧巻の技術力も垣間見えました。

もう一つは直線と曲線の絶妙なバランス。全体で丸くなり過ぎても雰囲気が締まらなくて、野暮ったくなってしまい、直線を多用し過ぎるとインダストリアルデザインの様な硬さや冷たさを感じさせやすくなってしまいます。
背座で大きく円形を取っているのでパッと見は柔らかく、同氏のらしさが溢れるポイントに。

加えて1940年代に同氏が、フランスのデザイナーのジャン・プルーヴェのスタンダードチェアを木製で作りたいと竹かごを座面に使った試作からスタートしたもので、後ろ脚の特徴的なシルエットは、スタンダードチェアと同様にスッキリした直線が際立っています。
全体で見るとやや曲線が多いため空間にすっと溶け込む馴染みの良さを持っていますが、メリハリの効いたこの直線で雰囲気を引き締め、自然なバランスの美しさを作り出しています。

坂倉準三氏が主たるデザインした後、坂倉準三建築研究所にいた家具デザイナー長大作氏によりリデザインされた小椅子。
自然からのインスピレーションを大切にした長さんは、背座の有機的な曲線を柿の実から着想したみたいです。確かにまん丸ではなく、柿を真っ二つにパカッと開いた断面の様な、目を惹く変わった形をしています。


そして今回はこの色だと恐らく熟し過ぎですが、柿の様な色合いの張地でもありますよ。今回はシートも張り替え済みなので、気持ち良くご使用頂けます。
と書いておりましたが、やはりこの完成度が好きな方は多いようで、経堂店分に続きこちらも出品後すぐの旅立ちとなりました。
低座イスと中座椅子、今回の子椅子を併せて「柿三兄弟」と呼ばれている柿の実シリーズ。恐らく末っ子であろう小柿は出荷されましたが、大柿はまだ在庫しております。


同じフォルムでイージーチェアにしては軽快感のある長男、「低座椅子」。少し赤味を帯びたダークブラウン色のオーク材を使用した1脚。
今回の小椅子に比べると和の雰囲気が強いカラーリングです。また、張地として信頼の高いリバコ社の生地を用いているので、これから長く愛用していただけます。

坂倉準三に始まり、長大作がリデザインして出来上がった三兄弟。可愛らしい表情をふりまくフォルムでありつつ、スタンダードチェアの血も流れたモダンなプロダクト。
特に低座椅子は畳の上なんか最高ですが、場所を選ばず様々なテイストのインテリアに溶け込む優しい趣。
坂倉準三さん、そして長大作さん。僕たちに対する深い愛情、ちゃんと届いてますよ。































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