TENDO
PESCA Dining Table & Chairs
ここ数日で冬物の衣類を着る人も増えて、身体で感じる冬が本格的に訪れてきました。
暦の上でも11月に入り、クリスマスから年末年始へ気持ちを切り替える方も多いことでしょう。イベントが少なくなると、やはり時間が過ぎるのも早くなってしまうもので、竹内まりやさんではありませんが毎日がスペシャルと思えるように小さなことにも思いを巡らせてゆきたいですね。
今回ご紹介するのは、往年の時代を感じさせながらも、現在においても引き続き作られている定番のアイテム。
何かスペシャルなダイニングアイテムがないかとお探しの方、ご注目下さい。
日本で必要とされた形
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今回ご紹介するのは日本を代表する木工企業、天童木工(Tendo)のダイニングテーブル&チェア。
発表は1982年(昭和57年)のロングセラーアイテムになります。
令和となった現在から数えて35年以上経過しているデザインとは思えない、新鮮な雰囲気を感じさせます。
デザイナーは松村勝男(まつむらかつお)。1923年、東京生まれの家具デザイナーです。
シャルロット・ペリアンに影響を受け、1950年代にはリキスツール等で有名なプロダクトデザイナー渡辺力らと「Qデザイナーズ」というグループを設立し、1971年には長大作・水之江忠臣と開催した展覧会で受賞するなど、情報は多くはありませんが実力ある人物であったことは間違いありません。ローコストでかつ日本人の体形に合う「暮らし」に寄り添ったデザインは、ペスカシリーズを始め長く愛されるアイテムを多く生み出しています。
そんな氏の代表作の一つがこちらのペスカ。
高い機能性と小振りなアイテムならではの可愛らしさを兼ね備えたシリーズです。
フレームに使用されているのは天童木工のお家芸、ビーチ(ブナ)材のプライウッド。
ナチュラルながらも落ち着いた色味で、またプライウッドの製造に必要な、熱を加えた加工がしやすい良材です。
チェアはスッキリとした見た目。
それもそのはず。一般的なダイニングチェアであれば全体の高さはおおよそで80~90センチほどですが、このチェアは75センチ。
背もたれも座面からスッと伸びるミニマムな一枚のプライウッドのみ。
視界に入る高さは実際以上にコンパクトで、お部屋の空間と引き立て合うような美しさを感じさせます。
華奢な見た目ではありますが、座ってみるとしっかりとした安心を感じられる座り心地があります。
脚部には前後が1本に繋げられた、15枚重ねのプライウッドのフレーム。必要なパーツを少なくするだけではなく椅子が受ける様々な負荷をしなって吸収します。
背もたれもしっかりと腰部にフィットする事で、少ない面積ながら体を楽にしてくれます。
外国の椅子にも良い座り心地のものは沢山ありますが、「日本人の体格」を良く研究したデザインという事を実感できる、身体に「合う」喜びを感じられる座り心地です。
テーブルはメラミン樹脂が配された、懐かしさを感じられる見た目。
ゴルフボールのディンプル(くぼみ)をもっと細かくしたような凹凸の表面加工は手触りが良く、意味も無く撫でてしまう気持ちの良さ。
キズや汚れ、水分にも強い素材なので、普段使いにももちろん最適です。
脚部には美しいアールで曲げられたプライウッドのフレーム。
こちらは19枚の板が積み重ねられています。
一枚一枚の板の質が良く、綺麗に圧着されたフレームは独特の縞模様となり、無垢材の部分との違いが際立つ新しい表情となっています。
1982年は遡ってみると中央自動車道の全線開通や、夕張の炭鉱閉鎖、文化面では笑っていいともの放送、漫画コボちゃんの連載開始、ソニーによる初のCDプレーヤー発売、中森明菜のデビュー、電電公社テレホンカードの発売などがあった年。
戦後の雰囲気はとうになく、数多く建設された団地やニュータウンで「豊かな日本」に相応しいあり方を求めていた日本人に、高品質で機能的なデザイナーズアイテムは魅力的だったに違いありません。
発売からわずか4年で1万脚を売り上げたというペスカチェアの実績もそれを裏付けています。
時代が必要としたアイテム。それが現代においても作り続けられているのは、考え抜いたデザインが時代を飛び越えて「人」に響く魅力を持っている証。日本人に合わせたサイズ感は、一人暮らしのお部屋は勿論、オフィスなんかの片隅にひっそりとあっても素敵なスペシャルな逸品です。
インプションでも天童木工は人気のアイテム。気になった方はどうぞお早目にお求めくださいませ。