Vitra
5451 Pedestal Table
バブルランプやボールクロックなど、一目見たら忘れがたい名作を数多く残した"ジョージネルソン George Nelson"。家具に詳しくない方でもきっと見たことがあるであろう作品群はタイムレスな輝きを放つものばかり。
プロダクトデザイナーとしての側面に隠れていますが、実は超優秀なビジネスマンでもあったネルソン。建築雑誌の編集長を経て加わったハーマンミラー社では、まだ駆け出しだったイームズ夫妻の才能を見出し、デザイナーとして採用するという先見の明を発揮しました。
その後のハーマンミラーの勢いはご存知の通り。まさに20世紀デザインの最重要人物なのです。
ずっと変わらないもの
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こちらはネルソンが手掛けたシンプルなサイドテーブル。5451という素っ気ないネーミングにプロダクトデザイン黎明期らしさを感じます。
またはペデスタル(土台)テーブルとも。あくまでも主役は上に乗せるもの、と言わんばかりの奥ゆかしさが可愛らしいじゃありませんか。
ミッドセンチュリーの一つのキーワードと言えるのが素材使い。
新たな技術の誕生によって、これまで不可能とされてきた複雑な表現が可能になった新時代は、デザイナーたちが競い合うように腕を振るっていました。
加工しやすく強度もあるプライウッド(積層合板)はその最たる例で、5451テーブルにも天板に採用されています。エッジが大胆に削り落とされたことで、テーブル全体をスマートなシルエットに。
このモデルの場合は、加工性よりむしろ大量生産性から採用されたと思われますが、プライウッドの断面も見えると見えないでは大分印象が違うもの。
最新技術を投入しつつ、従来の家具らしさ=木の質感も残したバランス感覚は、ネルソンの諸作品からも感じられます。
市場に出回っているビンテージ品はハーマンミラー社製が多いようですが、今回入荷した個体は"ヴィトラ Vitra"社製のもの。
当時ヨーロッパ圏ではヴィトラ社がライセンス権を得て製造・販売していた物も多く、シェルチェアはたまに見かけますが、ペデスタルテーブルは結構レアだと思います。
スイスの公用語のひとつ、ドイツ語表記のシールラベルが良いですね。商圏としては北米の方が大きいですし、玉数が少ないのも納得ですね。
使い勝手としては高さ58cmほどと、ソファやベッドサイドにちょこんと置くのに丁度良いサイズ感。悪目立ちしないスタンダードなデザインなので、どんな空間にも合わせやすく、お部屋のデッドスペースを埋めるピースとしても重宝すると思います。
個人的には、いかにも「デザイナーズ家具です!」みたいな圧がないクールさが気に入っています。
1954年にデザインされてから、現在でもハーマンミラーで現行品が販売されているネルソンのペデスタルテーブル。『普遍的』という言葉がこれほどしっくりくるアイテムもそうそう無いでしょう。
ネルソン作品の中ではやや地味な立ち位置ながら、ずっと愛され続けている理由は、使うことできっと実感して頂けると思います。