FREDERICIA
model 3232 Easy Chair
まだ気温が下がるだけならば普通でいられても、それに風が加わると途端に季節の深まりを感じます
そして立ち昇るようであった夏の湿気が嘘のように、乾燥が気になる季節となって参ります。肌や口鼻まわりどうぞ今年もケアを忘れませんよう。
今回のご紹介は、気取って言うならお部屋の「ケア」、そしてそれに腰掛ける人の心の「ケア」として最適な1脚のご紹介。宜しければ最後までお付き合い下さいませ。
その人のポリシー
世の中に凄腕のデザイナーはそれこそ山のように存在していますが、時代に磨かれ、同じ時期のプロダクトの中でもその「人」を一目で感じさせるものを作り出す人はそう多くありません。
このブログを書いている今まさに活躍しているデザイナーの方々。そのプロダクトが未来から振り返った時、いったいどのような時代を表すものと捉えられるのか。
2024年という今、ミッドセンチュリーという時代を見ているとふとそんな気持ちに捕らわれてしまいます。
今回はそんな名匠の中の一人、ボーエ・モーエンセンによるチェア。
FDBモブラーの責任者を務め、デンマークにおける良質なチェアのアイコンでもあるJ39をはじめ、多くの名品をデザインしています。
デンマークらしい中庸さを残しながらも、贅沢な厚みのオークフレームやサドルレザーを配したスパニッシュチェア等は憧れの1脚としてお探しの方も多いのではないでしょうか。
分類でいえばイージーチェア、ラウンジチェアと呼称される3232。
アームレスタイプなのでスッキリと使い易く、ミニマムなお部屋にも取り入れやすいタイプだと思います。
モーエンセンらしさ。それは真っ直ぐに伸びるフレーム。
ハンドクラフトによる曲面が多用されるデンマークのプロダクトの中で、垂直、水平という要素が意識的に使用される事で、お部屋のつくりに呼応し良く馴染みます。
そして与える印象を少なく抑えているからこそ、ポイントとしてあしらわれたディティールに目を奪われるのです。
良質なオークの無垢材は良く乾燥されているからかふわっと軽く、取り回しも良好。
年月で色づいた木味に添えられるのは淡いエメラルドグリーンのシートクッション。素材はウールかと思われますが、さらっとした手触りに温もりがありこれからの季節はより楽しめると思います。
クッションのウレタンは7センチというしっかりとした厚み。フレームにもウェビングテープが配され、過不足のない座り心地を提供してくれます。
くつろぎの中にも、デザインに合わせてかすこし背筋が伸びるような品のある1脚。奇抜なデザインではなくともお部屋の雰囲気を変える、「人」の見える名品を是非この機会にいかがでしょうか。