Fritz Hansen
PK22
北欧家具といえばオークやビーチ、チークにローズウッドといった、豊かな自然の産物である木材がイメージされます。
しかしながら、名作と呼ばれるものの中には、そんなスタンダードを軽々と飛び越え、オリジナルな立ち位置を確立している傑作も存在します。
知れば知るほど面白い北欧家具デザインの世界。私も北欧家具をより好きになったきっかけはこのチェアからでした。
スチールに見出した可能性
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デザイナーのポール・ケアホルムは、巨匠ハンス・J・ウェグナーの事務所に在籍していた経歴の持ち主。その後、コル・クリステンセン社からPK22が発売された時、ケアホルムは若干26歳。キャリアの初期からこんなにも洗練されたチェアを生み出した早熟さは驚きの一言です。
そのスタイリッシュなフォルムは瞬く間に反響を呼び、1957年のミラノ・トリエンナーレという世界的な美術博覧会でグランプリを受賞するほど。処女作にしてケアホルムの名を世界に知らしめた、エポックメイキングな作品がPK22なのです。
ケアホルムの作品の特徴と言えるのがスチールレッグ。
ミース・ファン・デル・ローエによる有名な“バルセロナチェア”に大きな衝撃を受けたことで、これを超える椅子を造ろうとPK22をデザインしたと言われています。
PK22は彼にとって初めて製品化されたチェアですが、それ以降もソファやテーブルなど、ありとあらゆるものにスチールレッグを組み合わせた製品を生み出しています。
木材や革といった自然素材に比べ、温かみがあるとは言えないスチールを一貫して使い続けながらも、完全に無機質な感じも受けないのは、根底に北欧デザインの影響があるからこそ。
木材や皮などの天然素材と同様に、スチールにも芸術的な繊細さがあると考えていたケアホルムだからこそ、異素材同士のマッチングを高い次元で実現できたのだと感じます。
ヘアライン加工が施されたスチールはギラギラとした光沢は抑えられ、柔らかな印象に。加えてエッジ部分に丸みを持たせているので、鉄素材独特の重厚感はそこまで感じさせません。
今回入荷したのは上品なキャメルカラーのナチュラルレザー仕様。ブラックレザーやラタンシートも良いですが、より経年変化による味わいが楽しめそうですね。
個人的にもPK22は大好きなチェアなのですが、しばらく見てないなぁと思ったら、学芸大学店への入荷は実に3年振りでした。
やっぱり惚れ惚れするほど格好良いです。もちろんお試しも出来ますので、是非実物をご覧にいらして下さい。