Fritz Hansen
ANT CHAIR
クリエイター、デザイナー等と呼称される著名人は、時に畏敬の念をもって崇拝され信者とも言われる人がいる程、人々を魅了する力があります。
椅子一つとっても、そこには’’偉大な巨匠’’と呼ばれるデザイナーがいます。多くの人々に影響を与え、この先もずっと語り継がれていくであろう北欧家具デザイナー「Arne Jacobsen|アルネ・ヤコブセン」。
奇をてらったもの、流行ものが溢れる中、何年経っても色褪せる事なくいつまでも残り続ける銘品はそう多くありません。しかし、彼が生み出したプロダクトは独創的で普遍的だからこそ価値があるのだと感じます。
この先きっと100年先にもアルネ・ヤコブセンの椅子に魅了される人は少なくないでしょう。
緻密な計算と信念強さ
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幼い頃は画家を目指していたものの、両親の反対にあい建築家を志すようになったヤコブセン。
建築家になった後も、彼の生み出すデザインに懐疑的な人々から反対される事もありながら、最後まで信念を貫き通し今日の彼の偉業があります。
北欧デザインを体現するかの様な見た目のこの椅子は「アントチェア」。かの有名なイームズ夫妻が手掛けた成型合板の椅子に刺激を受けたことがきっかけで誕生しました。
’’蟻’’と名づけられたそのデザインは、背もたれのくびれを見ただけでヤコブセンの椅子だと判別がつくほどです。
製造を担うのは、デンマークを代表する家具メーカー「Fritz Hansenフリッツハンセン」。当初アントチェアを持ち込まれた際には、コストの問題があり製造を断りますが、彼の根気に負け製作の依頼を受けることとなります。
「売れ残った椅子は自分で全て買い取る」といったエピソードにもヤコブセンの信念強さを感じます。
当初のデザインでは背もたれと座面が分かれていましたが幾度も改良を重ね、現在の形になりました。今もそのデザインはほとんど変わることなく受け継がれています。
また、スタッキングも可能という実用性も兼ね備え、随所に彼の拘りを感じられます。
今回はビーチ材が使われており、その杢目はくびれた背もたれと相まって柔らかな雰囲気をまとい、どんなインテリアにも馴染んでくれます。
さらに、ナチュラルな背座とは対照的にクロムメッキが施された脚部はシックな印象。相反する素材にもかかわらず違和感を感じさせないのは彼の緻密な計算によるものです。
彼が最後に手掛けた「デンマーク国立銀行」は直線的に作られた建築で、柔らかな曲線を持つアントチェアを作り出した人物によって設計されたとは思えない荘厳なデザインです。
彼が生み出すプロダクトには既成概念がないからこそ、多くの人々を魅了する事ができるのだと思います。
アントチェアに腰掛けながら彼の偉業に思いをはせてみるのも良いですね。