Pierre Jeanneret
Vintage Stool
本日は、歴史的な事象そのものが、そのビンテージ家具の本当の価値へと変わっていったスイスの建築家" ピエール・ジャンヌレ / Pierre Jeanneret "の最重要アイテムのひとつ『 ビンテージ スツール Stool 』のご紹介♪
サイレント・アーキテクト

1947年にインドがイギリスから独立。その歴史の転換点でインド北部・パンジャブ地方のチャンディーガルの新都市計画が始まりました。それはル・コルビュジエ事務所が州政府から依頼され、ヒマラヤ山麓の手つかずの広大な敷地を、都市空間から建築物、家具までに至るまで総合的にデザインするという国家的プロジェクトでした。
建築界の巨匠ル・コルビュジエがその重要な都市計画に参加する条件のひとつとして挙げたのが、従兄弟であるピエール・ジャンヌレを現場監督とする事。コルビジェは裁判所、議事堂、合同庁舎の設計を中心に、またジャンヌレはパンジャブ大学、ガンジー記念館、ホテル、バスターミナル、7000戸近くの集合住宅等の設計に携わりました。

そこで生まれた多くの家具と他のビンテージ家具と大きな違いは、販売用として製品化されたものでは無いという点。素材はその地域に古くから流通していたチーク材が使用され、インドの伝統的な手工芸の技術を応用する事で、都市規模の量産と現地の人々が容易に製作に携われる様に行われ、納期やコスト面での問題を解決したとも伝わっています。
時を経て建築と同様に家具も老朽化し、多くが廃棄されてしまう運命を辿りましたが、現在ではこれらの家具は世界各国の美術館が収蔵を始め、サザビーズ等の有名オークションで高額で取引される等、歴史的価値が再認識されています。

これまでもV-Legとラタンで構成された有名作「イージーチェア」等、複数回お取扱いをしてまいりましたが、今回は珍しいアイアンフレームを使用したロータイプのスツールが入荷致しました。
海外でよく見受けられる凹凸のある床面、地面でも安定した着座が可能な三本脚。円形のチーク無垢材座面に対し、補強の役割を担う中央の三角フレームが、造形的にもシャープな美しさを放ち、歴史的価値だけではないその個体のデザインの高さが感じられます。

都市開発の際に1960年代にデザインされたモデルで、バンジャブ大学の科学学部の教室などで多く使われていたもの。座面の側面にPGIとST(student)のレタリングが施されている事から、PGI(Post Graduate Institute of Medical Research / 医学教育・研究大学院大学)で1960年代に使用されていた個体と思われます。
他のジャンヌレ作品と比べても、明らかにコンパクトなサイズ感。コレクションとしても、日々の観賞用としても取り入れやすく、ディスプレイの一部として馴染みやすいフォルムはとても魅力的です。

コルビュジエのインドへの訪問が年2回ほどであったのに対し、ジャンヌレは1965年に病気でスイスに戻るまで、実に14年もの間インドに滞在しました。コルビュジエは途中でプロジェクトを離脱しますが、ジャンヌレはチーフアーキテクトとして、当初の契約の範囲を遥かに超える重要な役割を果たしました。
1967年に亡くなりますが、彼の意思に従い、遺灰はチャンディーガルのスクナ湖に撒かれました。
社交的なコルビュジエに対して、内向的だったジャンヌレ。しかしながら、その物静かな建築家は地元の人々をよく理解し、現地の人々との交流の為、パンジャーブ語も学んだといわれています。
人々の為に捧げたモノづくりの長い時間。彼が内気でも人嫌いではなく、とても温かな人間であった事は、彼の残した多くのチーク材家具からも静かに伝わってきます。











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