B-LINE
Boby wagon
生まれた日と亡くなった日が同じ人物は描いた円を綺麗に閉じるように完璧な人生を過ごしたといわれています。
あまりにも革新的なデザインの数々はまさに天才。
彼の作品に触れる度、人生とは長さではなく質だと気づかされるのです。
数多くのプロダクトを手掛けわずか41歳でこの世を去った天才。
本日紹介させて頂くのはそんな天才が遺した名作です。
鬼才の晩年、機能美の最終地点
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1960年代、イタリアンデザインの黄金期。
プラスチックをはじめとする新素材が続々と登場したことにより、デザインの可能性が広がった時期でもありました。
戦前からの合理主義デザインの影響が色濃く反映された建築やデザインスタイルが多く残る中、それらに捕らわれずただひたすらに自由に創作を続けたデザイナー、ジョエ・コロンボ。
本日紹介させて頂くのは、鬼才ジョエ・コロンボの代表的作品「ボビーワゴン」です。
1951年に前衛美術集団モヴィメント・ヌークレアーレを結成し、アーティストとして活躍していたコロンボ。
当時画家を目指していた彼は徐々にデザイナーとしての頭角を現し、建築やデザインに関心を示すようになります。
美術展の会場やブースをデザインするようになったコロンボは1956年にミラノ市内に初の建築作品を発表。
その後ミラノに自身のデザイン事務所を開設します。
この経歴からも彼の多彩さを伺う事が出来ます。
ボビーワゴンがデザインされたのは1970年。
コロンボが亡くなる1年前のことでした。
わずか41歳でこの世を去ったコロンボがデザインを手掛けたのは10数年。
この期間中に手掛けたデザインやプロジェクトは300を超えており、当時の他の建築家が年に1,2つのプロジェクトを手掛けていたことを考えると尋常ではない仕事量だったことが分かります。
デスク脇のスペースで「必要なモノを無駄なく効率的に収納できないか?」という誰もが抱える疑問への回答としてデザインされたボビーワゴン。
機能的に使える高いデザイン性と省スペース化の両方を併せ持つボビーワゴンは当時のデザインの現場にはあまりにも画期的でした。
圧倒的な機能性により発表当時はオフィスやデザイン現場などで使われる印象が強かったそう。
発表から50年経つ今、その魅力は再認識され幅広い用途で活躍しています。
柔軟な機能美とデザインの良さは時代やシーンをも超えて愛される存在となりました。
「必要に応じて機能や形態が変わる複数の用途が合体した製品作り」を一貫し実現させたジョエ・コロンボ。
ボビー・ワゴンはまさしく彼のデザイン哲学そのものではないでしょうか。
抜群の収納力と多機能を搭載し可動する、そして用途に応じて変形する。
使い心地は言うまでもなく、設置した空間の中に新たな空間が生まれたようです。
1930年7月30日に生まれ、1971年7月30日にその生涯を終えた天才ジョエ・コロンボ。
彗星のごときデザイナーと例えられた彼は多くのプロダクトに永い命を吹き込みました。
天才の晩年が生み出した、機能美の最終地点。
歴史的名プロダクトのご紹介でした。