B.C.Mobler
Elevator Table
お客さんとの会話で、またこういった紹介ブログの中でも、この商品にはどんな良さがあってどんなお部屋に合いそうでなど、使う人の気持ちになってお話をする機会がよくあります。
反対に、作り手がどんな想いでどんな意図で作ったのかを考えることで、その家具への理解を深められることも。
今回ご紹介するのは、1960年代の北欧で生まれたとされる「エレベーターテーブル」。
初めて見た時に、「なんて欲張りなテーブルなんだろう」と思いました。
「あれもこれも欲しい」を叶えてくれる
>>この商品の詳細を確認する
どこかの誰かが「こんなテーブル作ってくれない?」とおねだりをしたからなのか、作り手側が「こんなテーブルあったらみんなが喜ぶんじゃないか?」と使う人への優しさから生まれたのか。
エレベーターテーブルと言えばカイ・クリスチャンセンのデザインが真っ先に浮かびますが、どんなきっかけでどんな想いで生まれたものなのかは想像するしかありません。
でも、それはきっと大きなチャレンジだったはずです。
北欧家具の黄金期、1960年代にデンマークの工房" ビーシーモブラー B.C.Mobler "にて製造されたエレベーターテーブル。
インプションでは初入荷となり、皆さんもあまり聞き馴染みのないメーカーかと思います。
それもそのはず。調べていても、分かったことはデンマーク南部の都市ヴァイレ(Vejle)を拠点としていたことくらいで、工房についての情報は殆ど出てきませんでした。
それでもDanish controlのマークシールが貼られているものもあったりと、質の高さや技術の高さは見て取れますね。
(こちらの個体はメーカーシールが剥がれてしまったものと思われます。)
同社のデザインの特徴として挙げられる点がいくつかありました。
まずは材質について。
天板は北欧家具の定番木材であるキメの細かい杢目が特徴のチーク材、脚部には色味がチークに似ていることから別名アフリカンチークとも呼ばれ、近年絶滅危惧種にも指定された希少なアフロモシア材が用いられています。
チークとアフロモシアが生む絶妙なグラデーションが心地よく、この組み合わせは同社の家具に多く使われていたようです。
もう一つ大きな特徴と言えるのが、天板下のラックにあしらわれたストラップの飾り。樹脂のような柔らかな素材をしていて、一つ一つ板に括り付けられています。
しっかりとした木材に対して華奢な樹脂パーツのバランスが独特で、同社と言えばコレと言えるポイントでしょう。
冒頭にお話した優れた機能について。
固定天板を持ち上げながら両サイドに格納されたリーフ天板を引き出すことで、奥行56cmから74cm・92cmと伸長することができ、天板の使い方だけでも3wayあるんです。
天板の伸長だけでなく、昇降することもできます。
別名リフティングテーブルの名の通り、天板を持ち上げると昇降パーツが同時にスライドし、脚部の貫きに引っ掛けることで天板を固定できる珍しい仕様。
片側ずつ持ち上げれば女性一人でも簡単に伸長・昇降の作業をすることが出来ますよ。
高さは38と51cmの2段階。普段はセンターテーブルとして使い、食事や書き物などをしたい時は高くしリビングテーブルとしても、毎日の暮らしに寄り添い順応してくれる頼れる存在です。
今から60年以上も前に製造されたものとは思えない多様なギミックには圧倒されますね。
こんなテーブルあったらいいなと思い描いていた方は、是非お見逃しの無いように。