Hille AIRBORNE
Polyside chair
第二次世界大戦後のイギリス。
当時当たり前だった重厚な家具デザインから脱却し、ミニマルで軽やかな家具デザインを作り上げたデザイナーがいました。
楽観的で前向きなデザインは戦後の雰囲気を明るく照らし人々を勇気づけたのかもしれません。
家具やプロダクトは時に人の心を動かすもの。
本日ご紹介させて頂くのは戦後にデザインされた名作。
英国のイームズとまで言わしめたデザイナーが手掛けたチェアをご紹介させて頂きます。
人々に寄り添うデザインスタイル
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人の身体に寄り添うなだらかなラインが与えられたシェル。
抑えられたボリュームながら体を確りと包み支えます。
動作に対応する程よいしなりと安定感も魅力的。
座り心地の良さに伴う素晴らしい造形にこのチェアデザインの完成度を感じずにはいられません。
このチェアのデザインを手掛けたミッドセンチュリー期に活躍したイギリスのプロダクトデザイナー、ロビンデイ。
戦後の重たい空気に反し、軽やかで実用的な家具デザインを多く手掛けています。
当時の家具には無い強度がありながらもすっきりとしたルックスは人々の目に新しく映ったそう。
背とアームが一体となった名チェア“675”に見られるように、独自の着眼点とセンス、新素材と理想の壁をものともしない軽快なデザインは後のプロダクトデザインにも多大なる影響を与えました。
当時多く作られた伝統的な家具とは打って変わり、対照的なチェアを構想したロビン・デイ。
そのイメージを形にすることは簡単ではありませんでした。
当時開発されたばかりの技術をより高度に駆使しなければならなかった為です。
イームズ夫妻がデザインを手掛けたFRP製のシェルチェア同様、幾度もの困難を乗り越え完成されたからこそ、このチェアには強い説得力があります。
大量生産が実現したのは1963年。
射出成型での大量生産の実現は世界ではじめての出来事でした。
イームズのシェルチェアの主材はガラス繊維で補強されたFRP樹脂。
このチェアの主材はポリプロピレン。
60年代当時ではまだ新素材であったポリプロピレンを低コストの射出成形で製造し、プラスチックの新たな可能性を開きました。
大量生産と低コストを叶えたこのチェアは以降の人々の暮らしや公共の空間を支える重要な家具として認知されることとなります。
今回入荷したシェルチェアはHILLE社が製造を手掛けた一脚。
イギリスの公共の家具やスクールチェアを製作するメーカーです。
ビンテージや現行によく見られるのはスタッキングベース仕様のシェルチェアが殆ど。
カバーリングタイプ×キャスターベース仕様のシェルチェアは現存数自体が極端に少なく希少な一脚です。
環境や長時間の仕様に対応する特別な仕様がこのチェアデザインの完成度を十分に引き立て、ロビン・デイのデザイン哲学を身近に感じさせます。
1950年代の規範的な家具デザインに反抗し、実用的な家具をデザインしたロビン・デイ。
「単に新しくて良くないものを生み出すことは悪である」と遺した彼のデザインは半世紀たった今でも愛され続けているものばかりです。
環境に配慮しながら新しいデザインをする。
誰もが手に出来る良質なものをデザインする。
新鮮ながらも人々に寄り添うデザインスタイルがロビン・デイのデザインなのです。