Pastoe
Vintage Chest
ここ最近私の中でひそかなブームのオランダビンテージ家具。
素材使いやシェイプなどに独自性が見られ、新しいものに出会う度になんだかワクワクさせられるのです。
デンマーク、ドイツ、イギリスという家具大国に囲まれた土地柄からか、色々な要素が感じられつつ、そのどれとも違うという興味深いオランダの家具。
今回入荷したのも強い個性を放つ逸品です。
多様な価値観の集合体
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“パストー Pastoe”は今年で110周年を迎えたオランダの老舗ブランド。
ビンテージ市場で名前が知れ渡っているブランドですが、現在もミッドセンチュリーテイストなアイテムを販売し続けています。
こちらはパストーでチーフデザイナーとして活躍していた『ケース・ブラークマン Cees Braakman』の作品となります。
ケース・ブラークマンはパストーでキャリアをスタートさせた後、派遣先のハーマンミラー社でイームズ夫妻と出会ったことで、モダンデザインに大きく傾倒していくことになります。
イームズからの影響が強く表れているのが、成型合板で立体的にデザインされたドロワーの底板。何の気なしに開けた方は皆さん驚かれています。
個人的にも、外からは見えない部分が凝っている家具に弱いのです。
一見すると北欧のビンテージらしさも感じられますが、角ばった脚部に目を奪われます。
ブラックペイントのスチールフレームが、チェスト部の上品さをいい意味で壊すような絶妙なバランス感。
まるでデフォルメされたキャラクターのようでどこか愛らしいですね。
ブラークマンと言えば特徴的なのがプラスチックの把手。
普通であれば木材や金具を用いるであろうところを、敢えてチープに見えるプラスチックを採用するあたり、ブラークマンはなかなか挑戦的な性格だったのかもしれませんね。
結果、圧倒的な個性を確立しているのですから、デザインというのは本当に面白いと感心してしまうポイントです。
「ジャパニーズシリーズ」と名付けられているのも、日本人としては大変興味深いところ。
名も無い日用品にこそ本質的な美しさが宿るとする、独自の美意識「用の美」に影響をうけてのネーミングらしいです。
様々な要素が散りばめられていながら、決して華美になりすぎない控えめな美しさは、確かに用の美に繋がっているような気がしますね。
多様な文化や価値観を取り込んで、新しい何かを生み出す。
モノづくりに携わるすべての人が忘れてはいけない、ベーシックな部分を思い出させてくれるような一台です。
滅多に入荷しない希少なお品物ですので、ぜひ学芸大学店でご確認くださいませ。