Herman Miller
Cosm Chair
私たちの身体には、赤い血が流れています。
赤は、燃える炎や熱、命のエネルギーを連想させる色。
見る人の気持ちを前向きにしたり、興奮を促したり、自然と視線を惹きつけたりする力があると言われています。
そんな赤をまとったハーマンミラーのコズムチェアは、ただそこにあるだけで、仕事を始める前の気持ちにスイッチを入れてくれるような一脚です。
今回紹介するのは、ローバック・固定アーム仕様の「キャニオン」。
鮮やかさの中に落ち着きもあるこの赤は、空間をぱっと明るくしながら、これから何かを始めるためのエネルギーまで与えてくれるよう。
身体を預けて仕事をする椅子だからこそ、その色まで含めて「働く時間をつくるデザイン」なのかもしれません。
赤は、体の中を流れるエネルギー。

コズムチェアを手掛けたのは、ドイツ・ベルリンを拠点とするデザインスタジオ、Studio7.5。
1992年に6人のチームとして始まり、現在は7人で活動しています。
上下関係をつくらず、それぞれが幅広い役割を担いながらアイデアを育てていくスタイルが特徴。
スタジオ名は、7.5トンのトラックにモデルショップを乗せ、プロジェクトの現場から現場へ自由に移動するというアイデアから名付けられました。
実物大のモデルを何度も試しながら、機能とデザインの両面から製品を突き詰める彼らは、ハーマンミラーの「セトゥー」「ミラ」「ミラ2」、そして「コズム」など、数々のオフィスチェアを手掛けています。

実物を眺めていると、まず目に入るのはやっぱりこの曲線。
正面から見ると、背もたれから座面まで身体を受け止めてくれるような、なめらかなフォルムがよく分かります。
ところが、少し視点を下げたり、横や後ろから覗き込んだりしてみると印象が変わるんです。
細いフレームや機構部分が姿を現して、一気にメカメカしい雰囲気に。
人の身体に触れる部分は柔らかく、構造はシャープ。
そのギャップがなんともかっこいいんですよね。

そして、個人的にかなり好きなのが、このキャニオンという赤い色。
パッと目を惹く鮮やかさがありながら、どこか落ち着きも感じられる色合いで、ただ派手なだけではありません。
私には「落ち着いた情熱の赤」という感じがしました。
デスクチェアは黒やグレーなど控えめな色を選びがちですが、こんな赤が仕事場にあったら、それだけでちょっと気分が変わりそう。
「よし、やるか」と仕事に向かうためのスイッチを入れてくれるような存在です。

コズムの面白さは、こうした見た目のインパクトだけではありません。
仕事中はパソコンに向かってまっすぐ座るだけではありませんよね。
背もたれに寄りかかったり、誰かに話しかけられたら振り向いたり、ちょっとそこの紙を取りたいという時があったり。
そういった動きに自然とついてきてくれるんです。
長時間デスクに向き合うための椅子だからこそ、座る人の動きを制限しないという考え方は、実際に座ってみるとかなり理にかなっているように感じます。

また、コズムは一見するとかなり未来的なデザインですが、実際に空間に置いてみると意外と馴染みやすいのも魅力。
背もたれから座面までを一体感のある素材で包み込んだフォルムは存在感がありながら、フレームが細く、足元に抜けがあることで圧迫感が抑えられています。
ワークスペースの主役として置いてもいいし、家具や照明にこだわった部屋の中で、あえて一脚だけコズムを置いてみるのもおもしろそうです。

個人的には、真っ白なデスクと合わせてみたい一脚。
白と赤という潔いコントラストの中に、コズムのディテールやメカニカルな構造が入ることで、かなりカッコいいワークスペースになりそうです。
機能を追求した結果、無機質になりすぎることもなく、かといって家具らしい柔らかさだけに寄りすぎてもいない。
しっかり仕事をするための道具でありながら、部屋の中で眺めていたくなるデザインでもある。
そんなところに、コズムチェアならではの面白さを感じました。































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