Herman Miller
Eames sofa compact
数多のデザイナーの中でも、イームズ夫妻ほど知名度の高いデザイナーはそうそうおりません。
そのデザインがいかに優れているかは、数々のリプロダクト品とその需要の高さからも分かります。
イームズのシェルチェア特有の、カラーによるレアリティもマニアの心を擽りさらにその人気を後押ししています。
さて、そんなデザイナーズ家具ビギナーからマニアまでをも虜にするイームズデザインのアイテムでございますが、ソファが久しぶりに入荷いたしました。
この張地は…!
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こちらのソファコンパクトは1954年の誕生以来、途切れる事なく生産され続けているハーマンミラー社のロングセラーアイテム。
元々はイームズの自邸で使用していた備え付けのソファや1951年に発表された “Wire Sofa(ワイヤーソファ)” を基に考案され、MoMAパーマネントコレクションにも選定されている名作です。
輸送コスト削減や収納の際の利便性を狙った、ワイドな幅約180cmでありながらコンパクトミラーのようにバックレストを折り畳める仕様。
そして、省スペースを考慮した浅めの奥行きから 『 ソファ・コンパクト 』 と名付けられたこのソファですが、初期型(1982年以前)は固定部がプラスネジの為どうやら簡単に折りたたみが出来たらしいです。
安全上の理由から1983年以降のモデルは、折り畳みの可動部に一度締めると取り外しが出来ないワンウェイネジが取り付けられたようですが、これは引越しや搬入の際に不便となる為、どうやら評判が良くなかったそうで、プラスのネジに戻せという声が多かったらしいです。
さてさて今回の個体はどうでしょうか…。
背もたれを接続している金具のこの部分を見ると、1982年以前のモデルに使われていたプラスネジが付いている事がわかります。良いですね~。
ネジを取り外すとパタッとこのように折り畳むことが出来ます。日本の狭い住宅事情を考慮すると地味に嬉しいギミックです。
背面下部のフレームには『University of Houston』とナンバーが入ったメタルプレートが。おそらくヒューストン大学に納品されていたのでしょう。
イームズ・オフィスがデザインした最後の『低価格』作品でもあったソファコンパクトですが、センスの良さからそれなりの場所で採用されていた事が分かります。低価格といっても、決して安くはなかったと思いますが・・・。
現行品として数種類の張地の展開がされているソファコンパクトですが、今回のソファはアレキサンダー・ジラルドによるマルチストライプ“Mogul 081”に包まれたオリジナル個体。
ジラルドはジョージ・ネルソンやイームズと共にミッドセンチュリー期のアメリカデザイン界を牽引した一人で、2人の推薦によりハーマンミラー社のテキスタイルディレクターも勤めていた人物です。
ソファの肝である座り心地は、柔らかさが程よく腰痛持ちの私からすると、かなりGood。
過重を確りと支える強靭なスチールとワイヤースプリングによるフレームワーク。着座の際の衝撃を吸収するウェービングゴムベルトが弾力を生み出し、高反発のウレタンシートクッションがソフトな触感と快適な座り心地を生み出しています。
大人3人が並んでもゆったり寛げるシートスペースが確保されているうえ、省スペースな設計になっていますので、ご自宅のリビングはもちろん、エントランス、オフィス等様々な場所でお使いいただけそうです。
オーソドックスなレッドやグレーとは違い、主張の強いストライプはお部屋の主役となる事間違いなし。
ミッドセンチュリーの空気感が強く、本物志向の方に強くオススメしたい1台となっております。
ソファコンパクトには無地のファブリックやレザー、ビンテージのナウガハイド等様々な種類が存在しますが、その中でもジラルドのテキスタイルを使用した張地は市場で最も人気がございます。
いまや、現行品のノーマルなファブリックのタイプでさえ110万円以上する高級ソファ。今回はビンテージ且つエネルギッシュな当時のジラルドファブリックではございますが、かなりお買い得な価格になっております。
古き良きミッドセンチュリーの風を感じられる、コンパクトな1台。滅多に出会えない珍しい逸品のご紹介でした。