Herman Miller
Arm Shell Chair
世界で初めて量産されたプラスチック椅子として知られる名作、「サイドシェルチェア」。
背もたれと座面が一体となった有機的なフォルムとシャープなワイヤーの脚は、一度見たら忘れられないアイコニックなシルエットです。
背座の素材には当時最先端だったFRPを用いることで、軽量かつ高い耐久性を持つシェルチェアを量産することを可能にしました。
メイドインジャパンのシェルチェア
そんなアメリカのミッドセンチュリー期を代表するシェルチェアですが、わが国日本で製造されていたモデルも存在します。
1990年代頃まで日本の国内でも製造がおこなわれていたシェルチェア、今回入荷したのはハーマンミラージャパンが設立される以前に"モダンファニチャーセールス Modern Furniture Sales"がライセンスを取得して製造したモデルです。
アームシェルならではの曲線的なデザインやマスタードイエローのビビッドな色づかいが特徴的なこちらの一脚。
ホワイトのシェル本体に加えて、エッジを包むブラックのモールとのコントラストでレトロポップな風合いに仕上げられた一台です。
FRPを用いたシェルで適度にしなることに加えて、背座がファブリックに包まれたアプホルスター仕様で温かみのある掛け心地に。
また、クッションのおかげで長時間の着座でも疲れにくくなっているのも嬉しいポイントです。
FRP製のシェルに含まれるグラスファイバーの量は製造年代が古いほど多く、こちらのチェアにもたっぷりと含まれていることが本体を見ると分かります。
また、シェルの裏面にはハーマンミラー社のマークとModern Furniture Salesのエンボスに加えて、昭和51年3月19日製(1976年)である事を表すスタンプが押印されています。
一般的に製造年月日といえば西暦で表記されていることが多いですが、こうした日本的な部分が垣間見えるのも一つの面白い特徴です。
脚はお馴染みのエッフェルベースではなく、ゆらゆらとロッキングが可能なロッカーベース。
ゆったりとした姿勢で身体をあずけると、包み込むような造形のシェルと脚を伸ばした状態でもしっかりと座ることのできるロッカーベースで、動きにぴったりとフィットするような掛け心地です。
洗練されたデザインに加えて多くのバリエーション、年代等細かな違いからコレクションとしても高い人気を誇るビンテージのシェルチェア。
FRPやスチールベースの素材感で工業系の風合いを感じさせながらも、シェルの有機的なデザインや鮮やかな色づかいがポップなインテリア空間を演出してくれる逸品です。
今回入荷した個体はファブリックを新品に張り替えているため安心して長くお使いいただけるコンディションの一脚、この機会をお見逃しなく。