Knoll
vintage tulip stool
ミッドセンチュリー家具。
今までにない造形を描いた、デザイン性に富んだ名作が数々生み出されました。
デザインと実用性。
たった二つの両者の共存を実現すべく、多くのデザイナーが試行錯誤の日々を送り挑戦してきました。
優秀なデザイナーが緻密な設計と努力を施し生まれた、血と涙の結晶。
今回入荷したプロダクトは、両者の共存に成功した希少な名作です。
tulip stool
>>この商品の詳細を確認する
家具デザインに大きな変革が起きた1950年代。
テーブルと椅子が持つ永年の課題とも言えるテーブル下の”スラム化”を解決すべく立ち上がった一人のデザイナーがいました。
デザイナーの名は”エーロ・サーリネン Eero Saarinen”。
4本脚によって起こるテーブル下の混乱状態は、人々が不満に思いながらも中々解決できない問題でした。
5年という長い年月、スラム化を解決する研究に費やしたサーリネン。
「行きつくところは一本脚である」
4本脚からの脱却を決めたサーリネンでしたが制作は難航。
一本脚であるからこそこれまでの椅子とは違った構造で、しっかりと全体を支える素材を採用する必要がありました。
多くの素材を実験的に使用。
その中で、当時新しかったFRPとアルミダイキャストの組み合わせが強度面で優れている事を発見しました。
異素材の共存。
シェルにFRP、ベースにはアルミダイキャストを使用し、1本脚で自立するデザインを特徴としたペデスタル・コレクションを発表。
この究極の1本脚は、当時世界初でした。
ペデスタル(1本脚)と呼ばれ、これまでの概念を根底から覆すデザインとして注目されました。
ペデスタル・コレクションは、1本脚でありながらもその有機的さから、チューリップシリーズと呼ばれています。
こちらはその同シリーズ、ビンテージの『チューリップスツール』。
一目でミッドセンチュリー家具と理解させられるユニークな造形と、小ぶりながら放つ強い存在感。
名作として語り継がれてきたこの個体の気品の高さには、充分過ぎる説得力があります。
ビンテージと現行品の異なる点。
回転式の現行とは違い、ビンテージにはペデスタル(1本脚)のつなぎ目がありません。
この座面を支える滑らかなベースは、現行よりもチューリップの有機的造形を体現しているのでは?
と個人的に感じております。
ファブリックは弊社で専門業者に依頼し、新品のマハラム社のジラルドデザイン、マルチストライプ生地に張り替えたもの。
アレキサンダー・ジラルドは明るく鮮やかな色彩の抽象的な幾何学デザインを手掛けてきた、ミッドセンチュリー期を代表するデザイナーです。
同じ時流を歩んできたサーリネンとジラルドの組み合わせ。
更にミッドセンチュリーさを引き立たせてくれます。
このチューリップスツール。
シールの刻印により、320 パークアベニューにノルのオフィスがあった1961-70年頃の個体と判別できます。
座面張替え時にオリジナルシールをそのまま移植しておりますが、60年代生産当時のシールが残った個体は非常に稀。
弊社インプションだからこそ実現した特殊な名作を是非ご堪能頂ければと思います。
一目で記憶させるユニークなデザイン。
その存在感は今後も廃りを知らない永遠のプロダクトとして輝き続けるでしょう。
チューリップスツール もその一つ。
道具や家具という枠に収めるのではなく、芸術品として認識していきたいアイテムでした。