Knoll
KEVI Chair
1958年、デンマークの建築家・デザイナー”ヨルゲン・ラスムセン”によってデザインされたキャスターチェア『ケヴィチェア』。
機能性を追求したマイナーアップデートを繰り返しつつも、基本的なデザインは変ることのないロングライフデザインで、現在までに約250万脚が製造される一脚です。
imptionでも度々取り扱いがあり、『ケヴィチェア』と聞けばアルミのフレームとプライウッドの背座面から成るチェアが、すぐに頭の中に浮かんでくるという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし今回はそんな既存の『ケヴィチェア』のイメージを覆すような変わり種のご紹介です。
60年代に豹変した椅子
ケヴィチェアが一躍有名になったきっかけは、1965年にラスムッセンと双子の兄弟であるイブ・ラスムッセンが同作の為に発明したプラスチック製のダブルホイールキャスター。
それまでのキャスターは金属製で作られており、重く不安定で、可動性も悪い上、コストもかかるという代物でした。
しかし、2対のプラスチック製のホイールタイヤを重ねることで軽量で、スムーズな可動を実現。
現在、ダブルホイールキャスターはオフィスチェアのスタンダードな仕様となり、世界中の家具メーカーで採用されています。
1958年の発売当初はデンマークの工房「Kettel&Villadesen」より発売されていましたが、1986-2008年の間はフリッツハンセン社、以降はエンゲルブレヒト社と、様々なメーカーを渡り歩きつつ、2021年以降はエンゲルブレヒト社を買収した"モンタナ Montna"より発売されています。
今回ご紹介する変わり種は上記のメーカーからではなく、アメリカのインテリアブランド”ノル Knoll社”から60-70年代に発売されたモデル。
無駄をそぎ落とした、ザ・ワークチェアといった既知のフォルムからはかけ離れており、アルミを主とした構成や脚部のユニークな曲線が特徴。背もたれとアームが一体になった構造もワークチェアという括りの中ではマイナーなデザイン。
デンマークデザインというよりかはアメリカのミッドセンチュリーデザインを彷彿とさせます。
機能は回転機能とハンドルによる手動式の昇降機能が備わっています。
ハンドルによる昇降機能はアナログな仕掛けではありますが、ガスシリンダー式と異なり、油圧の低下がないというメリットもあります。
また、ファブリックにはウレタンクッションが内包されており、柔らかな座り心地なので、デスクワーク等の長時間のご使用にも向いています。
いかがだったでしょうか?
今回は”ノル Knoll社”製造時代のみ発売されていたコレクタブルな『ケヴィチェア』のご紹介でした。
なぜ”ノル Knoll社”製のみここまでデザインが違うのか、ご存じの方がいれば是非ご教示いただきたいものです。