Thonet
Bentwood rocking chair #7028
生活様式や時代背景が大きく反映する家具。
生活を共にする家具には様々な想いや意味合いが込められているものも。
現代を生きる私たちの生活に馴染み深い“椅子”も例外ではありません。
19世紀半ばまで椅子は「権力の象徴としての家具」だったのです。
そんな時代の中、椅子を初めて量産化、それだけでなく椅子に芸術の要素を封じ込めたミヒャエル・トーネット。
本日は家具の歴史を変えたトーネットの代表作であり名作『ベントウッドロッキングチェア』を紹介させて頂きます。
軽やかで美しい革命
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現在も家具を作り続けているトーネット社。
その歴史は永く、創業は何と1819年。
木材加工技術が進歩した現在でも生産が難しいといわれるベントウッド(曲木)の家具を世界で初めて量産させたことでも知られています。
創始者はドイツのラインラント州=プファルツ州ボッパルト生まれのミヒャエル・トーネット。
建具職人の下で修業していた彼は23歳の時に独立し、ある加工法に着目します。
それがベントウッド(曲木)でした。
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当時木材加工は切る、削る加工が一般的。
そんな中トーネットは薄い板をニカワで張り合わせ、水蒸気で木を蒸して柔らかくしてから曲げるという合成板の技法を開発し、家具を製作します。
そして出来上がったこれまでにない全く新しいデザインの家具は多くの家具職人に衝撃を与えました。
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重厚な彫刻などの装飾から脱却し、エレガントで軽く、丈夫な家具。
彼が尽力したのはそれだけではありませんでした。
木材の自生地での生産、水車動力の導入、工具、機械の発明等、彼の鋭いアイデアは家具の量産化に繋げたのです。
これまで権力の象徴としての家具だった椅子は軽やかなアイデアにより、一般大衆の家庭にも行き渡り家具のイメージを大きく覆しました。
あまりにも革命的な出来事は、その後の椅子デザインに計り知れないほどの影響を及ぼすことになります。
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そして1856年。飽くなきミヒャエル・トーネットの研究は曲木技術を完成させます。
それは合成板による曲木ではなく無垢材を使用した曲木だったのです。
自然が生み出す木の目は読めないもの。固く曲げにくい部分も混ざった無垢材そのままを曲げるのは至難のわざです。
彼は持ち前のアイデアと長年の研究で不可能と言われた技術を可能にしました。
今回入荷した♯7028のフレームがまさに無垢材の曲木。
曲木技術を盛り込み曲線だけで作られたシルエットはまさに芸術品ともいえます。
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注目すべきポイントはその美しいルックス以外にも。
身体を優しく支える手編みのラタンのシートとロッキングチェアならではの揺れが他にない座り心地と贅沢な時間を作り出します。
曲木のカーブはデザインの枠を超え椅子としての機能性を持つ名作として現在でも多くの人々を魅了し続けています。
座面底裏には“MADE IN POLAND”の文字が。
ポーランド工場は既に閉鎖しているそうなので、おそらく第一次大戦後、あるいは第二次大戦前に作られたものと推定されます。
曲木は経年により大きく曲げられた部分の外側が弾ける事もあるそうですが、このチェアにはそのような箇所は見受けられません。
これだけの状態で残っているのは確実な技術と熟練の技の所以とも言えます。
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その美しさと座り心地はキュビズムの創始者、画家のパブロ・ピカソにも愛されたほど。
ロッキングチェアに座った女性をモデルに描かれた作品があるほど身近に置いていたようです。
歴史を変え時間を越え、今なお愛され続けるトーネットのロッキングチェア。
曲木技術の難しさから、無垢材を使用したリプロダクト品はもはや不可能だそう。
誰にも真似できない名作。これから実物を見ることはもう無いかもしれません。
これまでの長い時間と共に、一層特別な時間をお過ごしいただけます。
お探しだった方はこの機会をお見逃しなく。
自由が丘店にて展示しておりますので、お近くにお越しの際は是非お立ち寄り下さいませ。