SIBAST FURNITURE
Lounge Chair of Teak
最近は都内近郊でも底冷えが激しい毎日。単に冬服を着るだけではなく、本格的に寒さ対策をしないと体調に係わってきそうです。そんな中でも存在する素足にスカートの学生を見かけると、もう想像するだけで寒く見ているこっちに鳥肌が立ってしまいます。がんばってるぜ学生。
学生の中には、今が本番真っ只中の受験生もいることでしょう。安全な受験の実施のため設営側も大変かと思いますが、日本を担う若者たちの一つの試練。無事滞りなく終了する事を祈念しております。
今回ご紹介するのは、そんな試練を乗り越えた先、社会で品格を備えた人々が用いる憩いのための椅子。
趣き深い1脚となりますので、宜しければ最後までお付き合いくださいませ。
客観性のある、成熟したチェア
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ビンテージとひとくちに言っても、どのポイントに魅力を感じるのかによって色々なバリエーションがありますよね。
100年以上前に作られたその歴史にロマンを感じる事もあれば、今では使用する事の出来ない素材の表情に心ときめく方も。
僅かな期間にしか作られなかった希少性に、収集欲をそそられる方もいるでしょう。
今回の椅子はそういった意味合いではややマイルド。多くのファンがいる北欧デンマークで作られ、メーカーの実力も申し分無いところですが、一つの「北欧ビンテージ」から大きく逸脱するものではありません。
ですが個人的な観点から言っても良いのであれば、名デザイナーの椅子よりも自宅に置いてほっとするのはこんな1脚かと感じてしまっている自分がいます。
この椅子はいわゆるラウンジチェア。ダイニングチェアなどとは違って、ホテルのフロントや応接スペース等で使われる事を想定している事もあってか、どこかパブリックな雰囲気を漂わせています。
ただ使用する人のためだけのデザインであれば、座り心地であったり奇抜なデザインであったりと、特化したものをそれぞれ自由に楽しめます。
ですが、人を招きくつろぎを提供する場所で、更には相手が商談先であったりするとTPOにはそぐわなくなります。
迫力あるデザインは話のネタにはなりますが、目的はあくまで歓談。悪目立ちしてはいけません。
快適な使い心地は必要ですが、だらしなくある事を許容してしまうデザインも頂けません。
家具は自分たちの雰囲気を代表するアイテムですから、「しっかりしてますよ」感がとても大切なのです。
直線を基調に構成されたシルエット。幅約8.5センチと程よいアームは翼のように外側に向けて鋭角なシェイプラインを象っています。
フレームはチークの無垢材が使用されており、太くも細くも感じない絶妙なバランス。中々言葉では伝えづらいところですが、こういったポイントに「北欧らしさ」を強く感じられます。
そしてひっそりと座面と背もたれを繋ぐ一本のライン。座面と同じ素材でくるまれているので金属の冷たい印象は感じられませんが、実はこれば板のバネ。椅子に掛けてもたれ掛かると、座面が前方へとスライドする仕組みになっているのです。
背もたれも姿勢に合わせて傾斜するようになっていますが、バネの復元力もあっていたずらにグラグラする事はありませんし、立ち上がれば元の姿へと戻るようになっています。この行儀の良さにはとても好感が持てます。
他にもシートに付けられた柔らかいカーブと並行する前後の貫は、大きな主張はなくとも連続性のある美しさ。残念ながらデザイナー等詳細については分かりませんでしたが、置く場所にどこか知的な雰囲気を与えてくれるような名品であるの事は確かに言えると思います。
TPOの在り方も大きく変化した現代ですが、どこか背筋を伸ばした雰囲気を欲する方にお勧めしたい1脚。今であればスーツ姿も素敵ですが、ざっくりニットに丸縁眼鏡、コーデュロイのパンツなんかで上品を醸し出して掛けたいちょっぴりレトロなラウンジチェア。素敵なビンテージアイテムです。気になる方は、どうぞこの機会にお迎えくださいませ。