kotobuki
Vintage Elephant Stool - Blue
柳宗理のデザインには、不思議な魅力があります。
奇抜な形で目を引くわけでも、装飾で華やかに見せるわけでもない。それなのに、一度見たら忘れられない形がある。
今回ご紹介するコトブキのエレファントスツールも、そんな一脚です。
象の足を思わせる独特のフォルム。座面から脚までがひとつにつながった、シンプルでありながら個性的な造形。
でも、このスツールの面白さは見た目だけではありません。素材や製造の背景をたどってみると、名作と呼ばれる理由がまた違った角度から見えてきます。
プラスチック時代の珍獣

デザインを手掛けたのは、日本を代表するデザイナーの柳宗理。製造を担ったのは、公共施設の椅子などを手掛けてきたコトブキです。
エレファントスツールは、柳宗理が自身のアトリエで使うための工作用椅子として考案したもの。1960年にはミラノ・トリエンナーレ展に出品され、その独創的な姿が注目を集めました。
ここで面白いのが、単に見た目のインパクトを狙ったデザインではないということ。

座面から脚までを一体化した構造は、安定感のある椅子をつくるための工夫でもあります。さらに、複数を重ねて収納できるスタッキング構造も備えています。
つまり、見た目はかなり個性的なのに、考え方はいたって合理的。
デザインの面白さと道具としての使いやすさ。その両方を、無理なくひとつの形にまとめているんです。

象の足に似ていることから「エレファントスツール」と呼ばれるようになったのですが、ヴィトラの紹介記事によると、当初は「スタッキングスツール」や「三角スツール」と呼ばれていて、いつ誰が「象脚」と名付けたのかは、はっきり分かっていないそう。

エレファントスツールを語るうえで、もうひとつ外せないのがFRPという素材。
コトブキは1950年代からFRP製品の研究開発に取り組み、新しい素材の可能性を探ってきました。
そうした時代に生まれたエレファントスツールは、素材の特性とデザインが結びついたプロダクトでもあります。

その後、コトブキでの製造が終了すると、2000年にはイギリスのHabitatから復刻。さらに2004年からはスイスのVitraが製造を引き継ぎ、素材もポリプロピレンへと変更されました。
同じデザインを受け継ぎながら、時代とともに素材や製造元が変化してきたエレファントスツール。そんな背景を知ると、長く愛されてきた名作の新たな一面が見えてきます。

スツール自体は、装飾を極力抑えたシンプルなデザインです。曲面と輪郭の美しさで見せる、まさに引き算の造形。
そこにライトブルーが加わると、印象はぐっと軽やかになります。

白い壁の前では爽やかに、木製家具のそばでは柔らかなアクセントに。
無機質な素材でありながら、どこか親しみやすさを感じさせるのも、このカラーの魅力です。

スツールとして使うのはもちろん、サイドテーブル代わりにしたり、オブジェのように飾ったり。
使い方を限定しすぎず、自由に楽しめるのもエレファントスツールらしいところ。
機能を突き詰めた合理的なデザインと、思わず目を引く愛嬌のあるフォルム。
その両方を持ち合わせているからこそ、誕生から長い時間が経った今でも、新鮮な魅力を感じさせてくれるのでしょう。































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