kotobuki
Elephant Stool
大学入試の実技試験で初めてエレファントスツールに出会ってから、かれこれ10年が経ちました。
コンクリートの床に点々と並べられた白いスツール(あれは、確かツルッとしていたので、ヴィトラのポリプロピレン製だったと思います。)たち。
シンプルなシチュエーションにシンプルなモチーフを描くのが一番難しいんですよね。
あの頃はまだ、私にとっては見たことあるけど良く知らない一つのモチーフに過ぎなかったのですが、今こうやってブログでご紹介する日が来るとは、ちょっと感慨深いです。
オリジナルから学ぶ事
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第二次世界大戦後、長大作、剣持勇、水之江忠臣、渡辺力等と共に「ジャパニーズモダン」と呼ばれる日本のインテリアデザインの草創期を築きあげた、柳宗理。
自身のアトリエで使う為の丈夫で安定性のある工作用の椅子として1954年にデザインされた、エレファントスツール。
1970年には大阪万博のパビリオンの屋内外で使用され、日本のインダストリアルデザインを代表する名作として国内外で高い評価を受けています。
今回入荷したのは、その中でも第一期に製造された希少なコトブキ社の個体です。
1956年に開催された展覧会「第一回柳工業デザイン研究展」で発表され、それを見た当時のコトブキ社の常務が惚れ込み、猛アプローチをかけたことで製造権を獲得。
その後、2000年にイギリスのハビタ社が「リビングレジェンドプロジェクト」として復刻。2004年にはスイスのヴィトラ社より、FRP製からポリプロピレンに素材を変更し現在も販売が続いています。
近年の復刻モデルは比較的出回っていますが、オリジナルはやはり特別です。
ハビタにもヴィトラにも無い仕様として、コトブキのエレファントスツールの中には、座面と脚部に穴が開いているものが存在します。
こちらもそのうちの一つ。公園などの屋外で使用されていたようで、座面に水抜き穴と脚に盗難防止の為に固定する穴が開けられています。
経年により艶が失われていたり、後年に再塗装されていたりと、コンディションが大きく変化しているものがほとんどですが、今回の個体はある程度照り艶が残っており、コレクション用としてもオススメ出来る一台となっております。
屋外用に加工された穴、程良く退色した優しいブルーの色合い、ビンテージらしいしっかりとしたグラスファイバーの質感、その全てが所有欲を満たしてくれます。
左)ハビタ
右)ヴィトラ
※こちらは既に販売済みとなっております。
コトブキの初期モデルを見てからハビタとヴィトラの後継モデルを見ると、70年以上に渡るエレファントスツールの歴史を垣間見ることができ、ファンにとってはたまらない光景ではないでしょうか。
いつか3台同時に入荷した日には、その集合写真と共に改めてじっくりご紹介出来たらと思います。
近年、様々なメディアに取り上げられ世界的に注目を集めている、ジャパニーズモダン。今後も目が離せません。