ClassiCon
ADJUSTABLE TABLE E1027
酒器をプレゼントし一緒に乾杯する、とお誕生日ギフトをお探しのお客さまがいらっしゃいました。
聞けばお渡しするお相手はなんと御年90歳。元気に長生きできる秘訣はお酒だそうです。
やっぱり好きなことを続けて楽しんでいる方が健康に過ごせるんだと実感しました。
孤高の美しさ
このテーブルをデザインしたEileen Gray(アイリーン・グレイ)もきっとそんな風に自分の思うがまま(好き)を貫き通して人生を謳歌したのではないかと思います。
枠に囚われることなく自由に、そして志高く生きた98年の生涯(1878-1976)。亡くなるまで現役デザイナーとして活躍したといわれています。
ただ、当時はまだ女性の地位が低かった時代。その中で自身のショップをパリに構えたり、数々の作品を生み出し続けるのは相当過酷だったことでしょう。
実際にモダニズムの父(ル・コルビュジェ)から妬まれことで、歴史からアイリーン・グレイの名は長く消されていました。でもそれは豊かな才能があったからこそ。同時代に多くのクリエーターが魅了されていたのもまた事実です。
そのアビリティが遺憾なく発揮されたのが彼女のデビュー作、1929年に完成した氏の別荘「E1027」。そしてその名作建築のためにデザインされた家具のひとつがこの「アジャスタブルテーブル | ADJUSTABLE TABLE E1027」です。
ベッドサイドで朝食を摂ったり書きものをするためのもので、脚部がベッド下に干渉しないように支柱が片側に寄った構造と11段階の高さ調整ができる仕様になっています。
コルビュジェの「住宅は住むための機械である」という考えに対して、「家は住むための機械ではない」という思想をもっていたグレイ。
外見の美しさだけでなく使う人や生活を第一に考えた知的なセンスは、現代の実用性を兼ね備えるデザインにも大きな影響を与えています。
モダンで独創的でエレガントな20世紀を代表するデザインアイコン。その裏側には合理的で機能的な佇まいからは想像もできない翻弄の歴史が隠されていました。
実は、製品化に向けて動き出したのもデザインの誕生から約50年後。さらにClassiCon(クラシコン)が手掛けるのは設立された1990年以降です。
どんな困難にも自分の意志を曲げることなく生きた証が、作品として現代で生き続けている。孤高の天才が残したデザインだと思うとより魅力的に思えるのはきっと私だけじゃないはずです。