CUERO
BKF Chair
現代人の毎日は、タスクであふれています。
仕事はもちろん、プライベートまで「効率」が求められる時代です。
動画は2倍速。本は読み上げ機能で耳からインプット。ドラマを縮小画面で流しながら、リールをスクロール。
マルチタスクがいつの間にか当たり前になりました。
でも、本当にそこまでして、コンテンツを生き急いで消費する必要があるのでしょうか。
最近、「デジタルデトックス」という言葉が広く浸透したことも、こういったことに何か違和感を持つ人がいたからではないでしょうか。
とはいえ、家の中でそれを実践するのは意外と難しい...
スマホは手の届く場所にあり、テレビもパソコンも、次から次にと「新しい刺激」を用意しています。
そんな家の中に、ひとつだけ「何もしないこと」が許される場所があったら...
今日紹介するのは、そんな聖域のような存在になる椅子、「CUEROのBKFチェア」です。
何もしないための椅子

3人のアルゼンチン人建築家「アントニオ・ボネット」、「フアン・クルチャン」、「ホルヘ・フェラーリ=ハードイ」の頭文字をとって名付けられた、BKFチェア。1938年に発表され、3年後の1941年にはMoMAに収蔵されるなど、当時の若者を中心に絶大な人気を誇った椅子です。

1度生産が中断された、BKFチェアは、2005年にスウェーデンのCUERO社が復刻。
イタリアの最高級レザーを、非常に手間のかかる植物性タンニンで鞣した、革本来の質感が感じられる上質なヌメ革が使われています。
手で触れる時間、日光、空気、人の座る体温によって少しずつ艶が深まる様子を楽しむことができる椅子です。

革を支えるフレームもこのチェアの魅力。
細いスチールフレームが交差して立体的に革をささえている様子が見れる、後ろから見た様子が蝶が翅を広げているように見えることがこの椅子の愛称、バタフライチェアの由来なのではないではと想像しました。

BKFチェアの座り心地を一言で表すなら、「身体を預ける椅子」です。
1枚の革がハンモックのように体を受け止めることで、座ると体の重みで革がゆっくりと沈み込み、座る人に形を変えながら体を包み込みます。
この椅子の面白さは、この特徴ゆえに座り方が定まっていないことだと思います。
深く腰を落としてみたり、あぐらをかいてみたり、横向きに座って読書をしたり...
そして、軽量なので持ち運びしやすいこともこの椅子の特徴。
取り回しのしやすさで、その日の気分で好きな場所に持ち運ぶことができます。
夜はリビング、天気がいい日にはテラスに。
その日、自分が一番くつろげる空間に移動させる。
使い方も、置き場所も何も決まっていない。だからこそ、座る人自身がその時間の過ごし方を自由に決定できる、座っている時間は何にも縛られることのない聖域のような椅子になるのです。

「何もしない」という言葉は現代では少しネガティブに聞こえるかもしれません。
生産性がない、時間の無駄。いつの間にか何もしない時間にすら理由を求めるようになったように思います。
でも、本当に豊かな時間とは、常に何かを得ようとする時間だけではないのかもしれません。
体を固定する背もたれも、アームレストもない。
作業を促すテーブルも、特定の用途に導く機能もありません。
しかし、その余白があることで、座る人が自由に時間の使い方を決めることができるのです。
正解がないからこそ、身体を預けた瞬間から、椅子に合わせるのではなく、自分の感覚に合わせて過ごすことができる。
BKFチェアは、何かをしなければならないという状態から少し離れ、自分の時間を取り戻すための椅子なのではないでしょうか。































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