GAVINA
Raymond Modular Sofa
最近実家の部屋の片付けをしていたら、昔のアルバムが出てきました。
アメリカに住んでいた幼少期の頃の写真には、私と同じ日本人もいればアメリカやカナダ、インドに中国、韓国と様々な人種の同級生たちが一緒に写っていて、今思えばアメリカでの生活はなかなか経験出来ない暮らしだったなと・・・
今まで生きてきた中のたった5年に過ぎないけれど、その経験がなかったら今の私はいないと思う程大切な時間でした。
突然そんな話をしているのも、本日ご紹介するソファを手掛けたデザイナーもまた、異文化との出会いをきっかけに世界で活躍するデザイナーに成長した背景があるからです。
日本とイタリア―
デザインの融合
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ご紹介するのは、イタリアのモダンファニチャーブランド" ガヴィーナ GAVINA "社より、希少な「 レイモンド Raymond 」セクショナル モジュラーソファです。
手掛けたのは、イタリア・ボローニャを拠点に建築兼家具デザイナーとして活躍した、高浜和秀氏。
1957年のミラノ・トリエンナーレで日本館のインテリアデザインを手掛けた際、ガヴィーナの創設者であるディノ・ガヴィーナ氏と出会い、同社の専属デザイナーとして多くの作品を生み出しました。
同氏の作品は、生まれ育った日本の文化と様々な出会いから新たに身に付けた西欧文化を巧みに取り入れたユニークなデザインで、国際的に高い評価を得ています。
深沢直人や吉岡徳人など、今でこそ、外国で活躍する日本人デザイナーは珍しくありませんが、当時はまだまだ少なく、高浜氏が先駆者となって日本人デザイナーの世界進出を後押ししたに違いありません。
高浜氏といえば、Knoll社から発表されているSuzanne(スザンヌ)ソファでご存知の方もいるかと思います。
同氏がデザインした家具の中でも今回入荷したRaymond(レイモンド)ソファは、国内ではほとんど販売されていた記録がなく、世界的に見ても現存数の少ないレアプロダクトです。
またインプションでは初めて高浜和秀デザインのプロダクトを取り扱うことができました。
シーンに応じて組み変えられる、汎用性の高いモジュラーソファとして考案されたRaymondシリーズ。
元々は公共施設やホテルのロビーなど、広いラウンジで複数台を並べて使用していたものと思われます。
L字型のフレームに取り外しできる3つのクッションがすっぽりと収まった、レゴブロックのようなユニークな造りが特徴的です。
一般的なソファシートの倍以上も厚みがありそうな、かなりボリューミーなクッション。
適度な硬さと安定感のあるウレタンクッションがしっかり身体を支えてくれますので、単体でも一人掛けのソファとして十分機能します。
見た目が似ていることから、マリオ・ベリーニのAmanta(アマンタ)ソファを思い出した方もいるのではないでしょうか。
たしかに、Raymondは1965年、Amantaは1966年とスペースエイジデザインが流行したちょうど同年代に発表されています。
2点を比較するとRaymondの方が直線的なラインを基調とし、スペースエイジの中にモダンの要素を取り入れたような印象を受けます。
とは言ったものの、ボタン留めされたクッションとはめ込み式のパーツが、やっぱり見れば見るほどおもちゃっぽい。
このポップさやキャッチーさは、まずスペースエイジファンの心を掴むことでしょう。
イタリアに渡り、当時盛り上がりを見せていたデザイン業界の中でホンモノのイタリアンモダンを身に付けていった高浜氏。
今でもカッシーナやビーラインなどで同氏の家具が現行販売されており、イタリアの家具メーカーと強い繋がりを持っています。
今回私は初めて高浜氏のデザインを知ることが出来たのですが、まだまだご紹介できていない優れた日本人デザイナーが沢山いることを改めて実感しました。
またこのような新しい出会いがあることを楽しみにしていたいと思います。